海外基幹2事業を強化
ハリマ化成グループ(4410)は事業環境に厳しさが増すなか、欧州ローターと中国製紙用薬品の海外基幹2事業をさらに強化、一方でコスト管理を徹底している。新中期計画に沿った拡大戦略を進めるための成長基盤を固める構えだ。
持続的成長へ基盤を固める重要な1年
デジタル化の流れを背景にした印刷用インキ樹脂の不振で、欧州、北米を中心に販売が落ち込み、米中貿易摩擦の影響を受け、自動車や半導体向け電子材料も減速。需要製品へのシフトと原価低減でローターが大幅増益を確保したことから、20年3月期第2四半期は微減収益にとどまったものの、通期は期初計画を下方修正した。ただ、今期は新中期計画初年度で、持続的成長へ基盤を固める重要な1年になる。
ローターは粘接着材の販売が増加
ローターはグループのサンパインが生産するロジン年間2万トン全量を調達、原料一貫の優位性を発揮して欧米市場でロジン製品のシェアを拡大してきた。主力の印刷インキ用樹脂は伸び悩む一方、ここにきて脱プラスチックの流れに対応した粘接着材の販売が増加。すでに売上比率は印刷インキ用樹脂を上回ったが、ロジン系、水系のエコ製品の取り扱いを強め、さらに粘接着材を伸ばすとともに、生産性も高めていく方針。
中国新工場はフル稼働
中国製紙用薬品は山東省の製紙用薬品新工場が立ち上り拡販体制が整った。新工場は立ち上がりから順調でフル稼働となったが、現地では製紙需要拡大が続き、規制強化を背景に環境負荷の小さいPAM(ポリアクリルアミド)原料製品へのニーズも強まっている。現地の製紙生産量は華北、華東、華南の沿岸部だけで国内の3~4倍と推測され、山東新工場と主力の杭州、東莞の3工場の連携を強め、膨大な市場に本格的に斬り込む。
高水準の研究開発投資を実施
付加価値シフトと製造原価低減、システム化による業務効率化などトータルコスト管理を徹底することで2Qは粗利率が改善した。さらに「業況にかかわりなく、高水準の研究開発投資を実施してきた」(会社側)としており、新製品へ期待も強い。
成長基盤固めがポイント
10月30日に年初来高値1366円を付けてからスピード調整局面ながら、配当利回り3%台の高さから1200円割れ水準では下値硬直性を発揮、大勢上昇基調を維持する。高値奪回から一段の株価上昇は、海外基幹2事業による成長基盤固めがポイントになりそうだ。
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