買戻しを誘発する買い
先週の日経平均は前週比末約831円高と2週連続で上昇した。
懸念されていたMSCI標準指数の定期銘柄入れ替えのイベントが27日に無事に通過したため金曜日には買戻しを誘発する買いが入って上昇したようである。
出遅れは接種率の違いが根本
ただ、2万9000円台を回復したとしても史上最高値近辺の米国株やドイツ株、また、アジアでは台湾株に比べて出遅れ感は否めない。
この違いはやはり新型コロナウィルスワクチンの接種率の違いが根本にはあるようだ。
日本株やインド株は上値の重い状況
英フィナンシャル・タイムズが纏めた「国・地域別の人あたりの接種完了人数」と各国の主要株価指数の騰落率(2020年末比)によるとイスラエルや欧州株が1割以上上昇しているのに対し接種の遅れている日本株やインド株は上値の重い状況となっている。
イスラエルでは人口の半分以上が接種を終えているが同国はパレスチナとの衝突など政治的リスクを抱えている。
しかし、主要指数の「TAー125指数」は約13%上昇しMSCI全世界指数の10%上昇をも上回る状況である。接種が進むドバイやドイツでもこの傾向が当てはまる。
接種のスピードが株価に与える影響は大
かたや、100人当たりの接種完了人数が10人を下回るインドやブラジルでは株価の上昇も4~7%にとどまる。この状況に日本も該当する。
大規模接種会場などを設けワクチン接種を急ぐ日本であるがやはり当面はワクチン接種のスピードが株価に与える影響は大きそうだ。
2万9000円台を固められるかがポイント
今週の相場は2万9000円台を固められるかがポイントとなってこよう。
週末に5日線(2万8651円処)と25日線(2万8649円)がゴールデンクロスを形成、金曜日には2万9194円11銭まで上昇したが13週線(2万9200円)、75日線(2万9246円処)の手前で止まっている。
31日には一目均衡表の雲のねじれ(2万9512円処)が起こるためそこに向かって上昇する典型的な動きとなった。このねじれを越えてくれば右肩下がりのBOX相場突破となる可能性が高いが急上昇後だけに今週は難しそうである。
3空形成なら売りから短期参戦も
現在、日経平均は「2空」状態であり今週は跳ねて「3空」を作るようなら「売りから」で短期参戦も妙味があると思われる。
下値は節目の2万9000円、26日の窓埋め(2万8710円83銭)、2万8500円、20日の窓埋め(2万8176円87銭)が上げられよう。
今週のレンジは?
今週のレンジは2万8500円から2万9500円を想定。月末の31日は「下げ」の特異日なので注意が必要である。
(ハチロク)
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp