「第一段階の合意」延期なら相場はさらに混乱
先週の日経平均は週間で約181円上昇し3週間ぶりの上昇となった。ただ、日足で見ると5日間全て陰線で引けており戻り売りの強さを感じさせられた展開であった。トランプ大統領の「香港人権民主主義法案」の承認に対し中国は「断固たる措置を取る」と発表、そのため買い手は慎重になり週末は伸び悩んだ。中国が報復措置を行うと期待されていた「第一段階の合意」は延期となり相場をさらに混乱させよう。
上値抑える日経リンク債繰り上げ償還
26日には2万3608円06銭とザラ場高値を更新したが11月SQ値(2万3637円93銭)を抜けず失速した。どうも23500円以上は重い印象を受けたが需給的にも2万3500円以上からは売りが出やすくなっているようだ。
その一つが「日経リンク債」の繰り上げ償還である。あるシンクタンクによると日経平均を対象とした公募リンク債の残高は26日時点で約1兆7000憶円あり2016年12月以来の水準まで増加しているようだ。仮に日経平均が2万3841円まで上昇すれば今後3か月以内に償還されるリンク債は約1兆円分あるらしい。組成した証券会社のヘッジ買いの先物売りのため再度組成すれば売り圧力も弱まるが薄商いの現状では影響は大きい。
2万4000円台は買戻しだけでは難しい
また、9月には約2兆円あった裁定取引の売り残も22日には8582憶円まで減少、逆に買い残が3720億円から6255憶円に増加しておりここから相場を大きく上げるだけの要因にはなりにくい。
12月相場に入り年末高を期待したいところだが米中貿易協議が基本合意されなければ2万4000円台は買戻しだけでは難しそうである。
チャート的には週足で十字線を付けている。高値での十字線のため今週の相場は重要。26日に付けた高値を抜けてくれば上昇に弾みが付くが抑えられると調整は長引きそうだ。
今週は2万2950円から2万3600円のレンジ
下値抵抗ラインとしは25日移動平均線(2万3198円処)、転換線(2万3167円処)▼2σ(2万2976円)が上げられよう。今週は2万2950円から2万3600円のレンジを想定する。
(ハチロク)