最大の関心は米国大統領選
いよいよ11月相場に突入するが、その最大の関心事は8日に投票日を迎える米国大統領選挙の動向だ。民主党候補のヒラリー・クリントン氏と共和党候補のドナルド・トランプ氏との争いは、3回のTV討論会を終えて各メディアではクリントン氏の優勢を伝えているが、その後は、クリントン氏が国務長官時代に公務で私用メールを使っていた問題が再燃し、結果は投票を終えて見ないとわからない。投票結果は東京市場へも影響を与えることになる。
クリントン当選でもTPPと為替動向は注視
米大統領選に向けた最新の世論調査では、ABCニュースが20日から22日にかけて実施した調査によるとクリントン氏の支持率が50%に達し、ドナルド・トランプ氏を12ポイントリードしていること伝えられた。他のメデイアでも軒並みクリントン氏優位の調査結果となっているが、その後、クリントン氏が国務長官時代に公務で私用メールを使っていた問題でFBIが捜査を再開したことが報じられており、その差は僅差となっている。6月に実施されたブレグジット(英国のEU離脱)をめぐる国民投票では事前予想を覆してEU離脱票が過半数を超えた。この教訓から投票結果が判明するまで100%安心はできないといえよう。
仮にクリントン氏が大統領に就任すればオバマ政権の政策を引き継ぐことになり、政策の劇的変化による不安は解消さえるが、クリントン氏とトランプ氏で共通するのはTPPに対して反対姿勢であること。TPPを推進する条件として雇用創出や賃上げなどを条件に挙げており、仮に頓挫すれば、外国産のコメや乳製品の輸入が増えないことから、国内の農業や畜産にはプラスに働くとの見方がある。加えて日本の円安を批判していることも両候補で共通している。為替の変動には様々な要因があるものの、円安が抑制されれば輸出関連にはマイナスになる。