中国リスクの備える
6月11日にトランプ米大統領は、中国と貿易枠組みで合意に達したと発表したことで常識を逸脱した米中の関税戦争は取り敢えず落ち着きを取り戻しているが、そのような中で不安が拭い切れないのが中国からのレアアース輸出だ。トランプ大統領は「マグネットの完全供給、そして必要なレアアースは中国が先行して提供する」と述べているが、これが6カ月の期限つきの措置になる見通しであることが伝えられている。そのような中で改めて脚光を浴びているの日本企業の技術だ。
強気の姿勢を崩していない中国
「レアアース」はレアメタルの一種で、ネオジム(Nd)やテルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)といった17種類の元素の総称で、ジスプロシウムやテルビウムはEV(電気自動車)駆動用のモーターに組み込まれる高性能磁石(ネオジム電池)の製造に不可欠で、その他にもパソコンやスマホなどの電子機器などに不可欠な素材だ。トランプ米大統領は高関税で安価な中国製品の輸入排除を狙っているが、それに対して中国が強気の姿勢を崩していないのは、このレアアースで圧倒的な地位を誇るに他ならない。
個別では?
この中国リスクにかねてより備えているのが日本企業だ。大同特殊陶(5471)の完全子会社であるダイドー電子がホンダ(7267)と共同で完全フリーネオジム磁石を開発し、ハイブリッド車(HV)に搭載されている。安川電機(6507)はネオジム磁石を使用せず入手が容易で安価なフェライト磁石を用いたEV駆動用モータを開発した。ジェイテクト(6473)は、ネオジムとジスプロシウムを使用しない焼結磁石を用いたモータを開発。ニデック(6594)は、ジスプロシウムやテルビウムなどレアアース(希土類)を全く使用しないモーターを開発し、eアクスル用として実用化している。
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
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