20年度予算2倍で開発加速
スーパーコンピュータを超える「量子コンピュータ」の開発競争が世界的に加速化するなかで、内閣府の有識者会議が「量子技術イノベーション戦略」の最終報告案を12月に入って取りまとめた。国家として取り組むべき8つの重点技術課題と、科研費等で実施する基盤技術課題を明示したほか、民間企業の新規参入を促すために重点技術や融合領域の技術ロードマップを作成、20年度予算請求では19年度比2倍の予算請求が行われており、関連企業が改めて注目されよう。
約1万年かかる計算を3分 20秒で解明
量子コンピュータは、量子力学的な重ね合わせを用いて並列性を実現するとされるコンピュータのことで、様々な計算に対応可能な量子ゲート方式と、最適な組合せをみつける計算に特化した量子アニーリング方式の2種類に分類される。今年に入っては10月に米グーグルが、量子コンピュータを使って複雑な計算問題を解くことに成功したと発表、従来のスーパーコンピュータでは約1万年かかる計算を3分 20秒で解明したと伝えられている。国家規模でも米国では18年に「国家量子イニシアチブ法」が成立し19年から5年間で最大13億ドルを投資、中国では20年に「量子情報科学国家実験室」が完成すると伝えられており、日本でも、20年度予算の概算要求で前年度比約2倍の300億円が要求され、財政支援で追撃する姿勢を見せている。
関連企業は?
企業レベルで実際にビジネスに活用するのは先ながら、研究開発で先行する企業は国家事業を背負う意味で注目される。個別では量子コンピュータの動作を半導体チップ上で模倣する「CMOSアニーリングマシン」を開発した日立製作所(6501)、量子アニーリング方式で23年までに実用化を目指すNEC(6701)、量子コンピュータの原理を既存のコンピュータに応用した「デジタルアニーラ」を開発した富士通(6702)などが挙げられる。
大阪・船場発の経済情報マガジン 経済市場新聞 economypress
コメント