拡大戦略へ成長基盤固める|ハリマ化成グループ(4410)【取材メモ】

取材メモ|企業取材 証券市場新聞
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体質強化と新市場開拓

 ハリマ化成グループ(4410)は事業環境が不透明で慎重に見積もったものの、20年3月期も営業増益を見込んだ。新中期計画の初年度で、積極的な拡大戦略を進めるうえで成長基盤を固める重要な1年となるが、その内容を検証した。

 20年3月期は連結売上高830億円(前期比5.6%増)、営業利益47億円(同0.7%増)を予想。19年3月期は計画を上振れ、16%超の営業増益で着地したことで発射台が高く、米中通商問題や中国経済の減速などをり込み、保守的に見積もった。ただ、持分法会社化したサンパイン社(スウェーデン)が好調維持、中国山東省の新製紙工場も立ち上がり、期初計画は上積みが期待できる状況だ。
 サンパインはロジンを年間2万トン生産し、全量をローター社に供給しており、欧州を中心にローター社はロジン関連製品の拡販を優位に進めている。新製紙工場は中国の環境規制強化を背景に立ち上がりから順調で「ほぼフル稼働になっている」(会社側)としており、年間、売上高で10億円、営業利益で1億円の貢献を見込む。さらに、北米で紙力増強剤の販売を強化し、高付加価値化する
テレピン油の生産も拡大させる。前期の大幅増配に続き年間配当を38円(前期36円)へ連続増配を予定することにも計画達成への自信がうかがえる。

今3月期慎重も増益見込む

 新中期3カ年計画では最終年度の22年3月期に連結売上高1000億円、営業利益70億円を目標に掲げた。19年3月期実績比で売上高は27%増、営業利益50%増となり、積極的な拡大戦略を進めることになるが、基盤事業の体質強化と未開拓市場への挑戦、成長市場のニーズに応える新製品実績化、安全で環境負荷の少ないものづくりなどを重点施策とした。
 基盤事業の体質強化について、グループ内原料調達率が60%以上に達したが、サンパインは20年をメドにトールロジンの50%増産に動いており、競争力強化でロジン関連製品のマーケットシェアがさらに拡大する見込み。植物由来の松やにを基盤原料とするエコロジー性と乳化分散、界面制御などの基幹技術を融合、新規用途開拓にも力を入れており、導電性ペーストやUV硬化型機能性ナノ粒子分散液、表面親水コート剤などへの期待も強い。
 ROEは8%に達したが、中計ではさらに10%に高める方針で、増配、自社株買を含めた株主還元も強化の方向だ。

by 株価チャート「ストチャ」

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