株式市場新聞WEB版2023年3月13日号

2023/3/13月曜日

SVB破綻の影響は?

7日に上院議会証言でパウエルFRB議長が経済指標次第で利上げペースを加速化させると発言したことで2年債利回りが上昇したことで金融引き締めへの警戒感が高まったところに週末にはSVB(シリコンバレーバンク)ファイナンシャル・グループの経営破綻が伝えられ、10日のニューヨーク市場ではダウで345.22ドル安と大幅に4日続落、ナスダック指数も1.7%超の大幅安となって引けている。

先週の日経平均は前週末比約216円高と2週連続で上昇したが週足では上髭の長い「トンボ」状態になった。
しかも、高値圏で発生すれば相場の転機とも言われる「アイランドリバーサル」が出現した。
「アイランドリバーサル」とは窓を開けて上昇、下降し翌日反対に窓を開けて下落、上昇した形であり「離れ島」とも言われる。

7日にはアジアや欧州投資家とのミーティング結果を示したリポートで、「ファンダメンタル投資家の間では、日銀の政策転換よりも東証が1月30日に発表した企業価値向上に向けた取り組みに関する資料に対する関心の方がはるかに高い」と見ており、PBR1倍割れ銘柄が買われている。

先週の東京株式市場は続伸しましたが、週末10日は急落となりました。週足は上髭の陰線形成。9日のNY市場は3日続落し、NYダウが200日線を割り込んできました。欧州やアジア市場は堅調推移してきましたが、心配の種だった軟調地合いのNYが足を引っ張る形となってきました。

前週の東京市場は続伸しました。日経平均は前週末比216円高です。パウエルFRB議長の議会証言はタカ派色が強く、次回FOMCでの利上げ幅拡大が意識されるなか、米国株が不安定でも強い動きでした。

  動意銘柄

銀行
が安い

三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>などメガバンクや栃木銀行<8550>をはじめ地銀を含め銀行株が総じて安い。前日の米国株市場で金融株が急落、KBWナスダック銀行株指数の下落率はは7.7%と2年9カ月ぶりの大きさとなった流れが波及した。銀行・金融サービス持ち株会社のSVBファイナンシャルグループが保有債券を売却して巨額の損失を計上したのがきっかけで、保有債券の含み損拡大が表面化してくることで、地銀の信用不安も警戒されている。

菱洋エレク
が高値

菱洋エレクトロ<8068>が10日、大幅高で年初来高値を更新した。前日取引終了後に発表した23年1月期の連結決算は、営業利益は46億9300万円(前の期比2.1倍)と前回上方修正の42億円を上回り利益が倍増。24年1月期は36億円(前期比23.3%減)益を見込んだが、リョーサン持分法適用会社化により、経常利益は65億円で(同45.2%増)と大幅増益を計画しており、年間配当を120円(前期110円)に増配することも好感された。

積水ハウス
が高値

積水ハウス<1928>が10日、6日続伸、上場来高値を更新した。9日取引終了後、発行株の2.72%にあたる1800万株、400億円を上限にとした自己株取得枠を設定するとともに、4月26日付で2200万株の自己株を消却すると発表。23年1月期の連結決算は営業利益2614億8900万円(前の期比13.6%増)と2ケタ超の増益で最高益を更新し、中期計画では最終年度の26年1月期に3180億円を目標に掲げたことも好感された。

マツモトが
ストップ高

マツモト<7901>は10日ストップ高買い気配。9日引け後に発表した23年4月期第3四半期累計の単体決算は、計営業損益4億2900万円の赤字(前年同期5億5400万円の赤字)と赤字幅が縮小したことがポジティブ視された。学校の卒業・記念アルバム制作大手で第4四半期に売り上げが集中することから通期黒字転換の確度が高まったとの見方が強まった。

TBグループ
がストップ高

TBグループ<6775>が10日、ストップ高カイ気配。同社は9日の取引終了後、100%子会社のスマートヘルスネットがJTBと富裕層向け医療ツーリズム事業に関して、基本契約を締結したと発表した。JTBが設立した医療コーディネーター部門のジャパン・メディカル&ヘルスツーリズムセンター(JMHC)を通じて、訪日外国人向けメディカルツーリズム事業に関して、両社で医療ツーリズムの受診者及び患者に対するスムーズ且最善のサービスを提供する。

東邦金属
がストップ高

東邦金属<5781>が10日、連日のストップ高で新値追い。前日の午後、新開発異種金属接合技術を用いた核融合炉用高熱負荷機器が重要マイルストーンを通過したと発表したことが引き続き買い手掛かりになった。異種金属接合技術により製作したダイバータが高温プラズマ照射環境下での試験に成功したことから、高い信頼性が確認。今後、核融合炉への実装を目指し大型プラズマ実験装置での実験を計画している。核融合研究のスピンオフの同技術は産業機器への応用展開も期待できるとしている。

3月13日から新型コロナウイルス対策として求められていたマスク着用が個人判断となった。電車などの交通機関や医療施設など混雑する場所での着用は推奨されるがそれ以外の場所では任意となった。

編集後記

日経平均では2万9000円が見えてきたと思ったら一転して急落となった。週明けも続落のスタートが予想されるが、期末の配当や優待の権利取りを考えればチャンスとも思える。ピンチはチャンスだが、どのタイミングで勇気をだすか?

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