日銀短観と米雇用計画【転ばぬ先のテクニカル】

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景気回復は二極化の様相

昨日、8時50分に日銀短観が発表されました。大企業・製造業の業況判断指数(DI)は昨年12月調査比15ポイント上昇しプラス5(市場予想は0)、先行きの6月のDIは市場予想と同じプラス4となりました。米中など海外経済の持ち直しで輸出や生産活動が拡大し、3四半期連続で改善し、1年半ぶりにプラス転換しました。一方、大企業・非製造業は4ポイント改善したもののマイナス1(市場予想はマイナス5)とコロナ禍からの景気回復は二極化の様相が強まっています。

製造業は16業種中14業種が改善

製造業主要16業種中14業種が前回調査より改善しましたが、7業種はマイナスのままです。繊維、食料品、造船・重機などの3業種は前回調査より悪化しています。急改善しているのは石油・石炭製品、非鉄金属、汎用機械、生産用機械、電気機器、自動車の6業種。一方、非製造業主要12業種中7業種が前回調査より改善しましたが、6業種はマイナスのままです。中でも宿泊・飲食サービス、対個人サービス、電力・ガスの3業種が前回調査より悪化しています。急改善しているのは不動産、物品賃貸、対事業所サービスの3業種。

グロース株に復活の兆し

面白いもので、株式市場は月末最終日安、月初高の繰り返しとなっています。日銀短観の改善も寄与して日経平均は反発しました。NY市場の動向もありますが、日銀短観の改善業種の値嵩製造業株が復活の兆し。3月相場では成長株であるグロース株が売られ、割安株であるバリュー株が買われました。グロース株の値幅調整がほぼ終わった格好で、先週あたりから下値が固まってきていましたが、ここにきて復活の兆しが出てきました。

バイデン政権のインフラ計画も後押し

これにはバイデン政権のインフラ計画も後押しします。3月31日、バイデン大統領は新たなインフラ計画の第一弾(2兆2500億ドル=約250兆円)を発表しました。「米雇用計画」と題した同プログラムの期間は8年です。公共交通機関への連邦拠出の倍増を含め運輸に6200億ドル、清潔な飲料水や高速ブロードバンドの整備など各家庭における生活の質向上に関連した施策に6500億ドル、米製造業の強化のために5800億ドル、高齢者と障害者の介護向上に4000億ドルをそれぞれ振り向ける計画です。

半導体製造に500億ドル

また、製造業向け資金のうち非国防関連の研究開発に過去最大の約1800億ドルを充てるということです。対中競争力の強化の一環として、米国内での半導体製造に500億ドルの予算を組む予定であり、この部分に反応しているのではないかと思われます。

富裕層やキャピタルゲイン増税は見送り

また、財源計画では現行で21%の法人税率28%に引き上げるとともに、世界的に事業展開する企業の利益に税率21%のミニマム税を適用する計画です。富裕層増税やキャピタルゲイン増税が今回見送られており、マーケットを安心させました。ただ、4月半ばに発表予定の第2弾では、富裕層増税が主眼となりそうです。それでも大統領は演説で、年間所得が40万ドル未満であれば、一切増税の対象にはならないと重ねて強調していました。

1日のNY市場の動きは重要

日経平均は一時2万9585円高値までありました。25日線を回復しだしており、5日線が25日線を上回るミニ・ゴールデンクロスを示現。しかし、後場に入って失速したのはバイデン大統領のインフラ計画がNY市場の取引後に発表されたため、NY市場に織り込まれていないことを警戒したのでしょう。そういう意味では1日のNY市場の株、債券、為替の動きがどうなるのかが重要です。

2万9620円を抜けられるか

週末金曜日はグッドフライデーでNYは休場となりますので、ポジション調整と相まって気になるところです。そして日経平均は一目均衡表の雲上限が2万9620円に位置しているためここを抜けられるのかに注目です。

日々勇太朗

 

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
 

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