鉱工業生産予想大きく下回り続落
昨日の東京株式市場は続落となりました。２９日のＮＹ市場はマチマチの展開でシカゴの日経２２５先物は大証比２０円高で帰ってきました。昨日の東京市場は半期月末のドレッシングでシッカリの展開かと思われましたが、８時５０分に発表された５月の鉱工業生産指数が市場予想を大きく下回ったことで売られました。市場予想は０．３％低下でしたが結果は７．２％低下となりました。上海のロックダウンの影響が大きく全１５業種中１３業種で低下。中でも自動車工業が８．０％のマイナスで大きく足を引っ張りました。
パウエル発言でリセッション懸念
ポルトガルで開催されたＥＣＢの年次フォーラムでパウエル議長が発言に注目した向きもあるでしょう。「米国経済はかなり強い」、「我々の行動が行き過ぎるリスクもあるが、最大リスクではない」、「最大のリスクは物価安定の修復に失敗すること」などと述べられ、当面はインフレ押し下げに集中すると発言しました。今後も急激な利上げをする可能性が高まったことから、５年先の期待インフレ率が年初来安値を更新し昨年１０月以来の水準に低下しました。これはＦＲＢの積極的な利上げにより、リセッション懸念が大きくなるという反応です。
月足陰線で５カ月線割り込む
さて、早いもので半年が経過しました。６月相場は月足が陰線形成となりました。６月９日には２万８３８９円まで上昇し１２カ月線を上回る場面がありましたが、６月２０日には２万５５２０円まで急落し３６カ月線が意識されて反発。しかし、その後半値戻し達成で２５日線に到達したことで上値が重くなりました。結局、月末は５カ月線を割り込んでしまいました。
昨日は下の残した窓埋めの動き
昨日の日経平均は続落していますが、下の残した窓埋めの動きと解釈できます。６月２４日～２７日に残している日足の窓埋めが完了となりましたが、ＴＯＰＩＸの窓が埋め切れないために更に下押しているようです。ＴＯＰＩＸは１８６６．８５ポイントまで下げれば窓埋め完了となります。
インフレ耐性の強いセクターを物色
ところで、直近で野村不動産、三井不動産、三菱地所、東京建物が年初来高値を更新するなど目立たず静かに不動産株が上昇しているのが印象的です。株式市場でインフレ耐性の強いセクターを物色する動きが強まっていることの証と言えます。更に足元で進む円安進行が弾みをつけることになりそうです。
香港投資家が東京で一生に一度の買い物
ファイナンシャル・タイムズの記事によると、香港のエリートが不動産のバーゲンを求めて東京にやってくるそうです。不動産仲介会社のＪＰインベストは、香港の投資家グループを８月に東京に派遣し、一生に一度の買い物の旅をする予定だということです。歴史的な円安、日銀の揺るぎない政策、そして１貫４４０ドルの寿司を餌に不動産のバーゲンハントに乗り出すことになると報じています。
東京の不動産に問い合わせが殺到
香港の不動産仲介会社ＪＰインベストが企画したこのツアーは、２４年ぶりの円安への急落を利用しようとするヘッジファンドや超富裕層の顧客から、東京の不動産に関する問い合わせが殺到したことを受けたものです。
円安だけでなく不況の心配免れていることを強調
一人当たり１２８，０００香港ドル（約２２２万円）のツアーには、東京・大手町のアマンホテルと箱根の強羅花壇温泉での宿泊、帰国後の香港での７日間のホテル検疫パッケージが含まれています。食事は、銀座のミシュラン３つ星レストラン「鮨よしたけ」（１３席）で、アワビの肝和えなどを予約。不動産ブローカーは、円安の魅力を強調するだけでなく、東京市場が他の首都に渦巻く不況の心配から免れていることを強調しているそうです。
京都市内の不動産取得も報じられる
今週２６日の京都新聞オンラインにも同じような記事がありました。「中国人の投資家が、京都市内の不動産取得に動いている。起業や現地の不動産バブルで築いた資産の運用先として、上海などの大都市より割安な日本の物件に着目。京都では文化的な魅力もある京町屋や、利回りの高い宿泊施設が人気を集める。習近平国家主席は貧富の格差是正への姿勢を強めていることなどから、同国の富裕層には、政情の安定した海外へと資産を移したいとの思惑もあるようだ」
８０年代はジャパンマネーが米不動産暴騰させる
１９８０年代に当時低迷していたアメリカの不動産をジャパンマネーが買い漁り、不動産価格を暴騰させたようなことが、今度は日本でも起こるのかもしれません。
日々勇太朗
提供：株式市場新聞社 marketpress.jp
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