NY株安も押し目買いから上値追い
昨日の東京株式市場はNY株安で71円安スタートも、押し目買いから上値追いとなり4日続伸となりました。米国市場はパウエルFRB議長の議会証言により急落。パウエル氏は前回のFOMC後の記者会見で「ディスインフレ(インフレ鈍化)が始まった」としましたが、その後発表された経済指標では雇用やインフレ指標が市場予想を上回り、7日の議会証言では「(経済指標など)データ全体として、より速い引き締めが必要だと示されれば、利上げを加速させる用意がある」としたことで警戒感が高まりました。
指標強ければ0.5%利上げも
今週末10日の2月の雇用統計、来週14日の2月の消費者物価指数(CPI)が強い内容であれば、3月21日~22日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%利上げの可能性が高まることになるでしょう。ただ、2月発表の1月分の経済指標は季節調整などの影響で、一時的に強く出ている可能性も指摘されています。そのため弱い数字となれば、0.25%となる可能性も残されています。
信用売り残2月24日週に急増
それにしても東京株式は強い。ただし、売り方の買戻しによる上昇が起こっているだけという見方もあります。東証の信用残をみると、買い残はこの1カ月間3兆2000億円台と大きな変化なく過ごしています。一方で売り残は2月17日週の9030億円から2月24日週には1兆651億円に急増しました。この24日週は日経平均が2万7046円まで下落した週で、BOX相場を一時的に下放れた局面です。
下落方向に転じたと考えヘッジ売り
投資家は横ばいの続いた市場が下落方向に転じたと考えてヘッジ売りを積み上げたということです。ところが相場が反転したことで3月3日の売り残は8909億円に急減。その後も株価上昇が続いていることで、今週も買戻しが相当に入っているものと思われます。
日経レバ売り方ナンピン売り乗せ
また、日経平均レバレッジETFの信用残にも動きが見られます。信用買い残が2月24日週は5645万株ありましたが、3月3日週には4480万株に急減。一方、売り残は2月24日週は2263万株でしたが、3月3日週には2899万株に増加しています。株価上昇で買い方は利食いを持ち込む一方で、売り方はナンピン売り乗せをしているようです。
日経ベア売り残減の一方買い残増
これは日経平均ベア2倍上場投信でも同様の手口が見られます。売り残が減少する一方で買い残が増加しています。(ベア型なので、レバレッジとは売り残、買い残は逆さになりますが、同様のポジションです)このことから考えると、売り方の買戻しが一巡すると株価上昇は止まり、下落に転じる可能性が出てくるということです。注意深く統計数字を見ていく必要がありそうです。
日々勇太朗
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
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