アクティブETF【転ばぬ先のテクニカル】

転ばぬ先のテクニカル|証券市場新聞
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FRB利上げ継続の一方流動性供給

先週の東京株式市場は乱高下の一週間でしたが、前週とほぼ同水準で取引を終えました。引き続き金融不安とその対策が錯綜するなかで開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利上げが決まり、米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ対策に比重を置いた政策を進めることが示され、パウエルFRB議長も記者会見で年内利下げはないとタカ派発言を行いました。ただし、FRBは利上げを継続する一方で、流動性を供給するという真逆の政策を行っています。

信用不安発生でBTFP導入

コロナ禍で各国中央銀行は市場の混乱を避けるため大量の資金供給を行いました。その後は昨年から徐々にばら撒いたお金を吸収する措置を取ってきました。ところが、ここで信用不安が発生したことで、FRBは新たに「バンクタームファンディングプログラム(BTFP)」を導入。BTFPとは金融機関を対象に、米国債や住宅ローン担保証券を担保として、最長1年の融資をするというもので、政府の基金から最大250億ドルを利用できるようにすることとしました。

QT元の木阿弥となる可能性

これがFRBのバランスシート圧縮の取り組み(量的引き締め=QT)にブレーキをかける可能性があります。とういのも、BTFPは、銀行が保有する債券を担保として差し入れる代わりに、預金や資本のポジション強化に必要な資金をFRBが供給する仕組みですが、この担保債券は最終的にFRBのバランスシートにとどまるからです。銀行にとって金利上昇で既に評価額が下がっている債券をFRBに差し入れれば「額面」で評価してくれるため、BTFPは銀行側から相当な需要があると予想され、FRBが進めてきたQTが元の木阿弥となる可能性があります。

FRBのかじ取り制御不能も

実際、MMFの残高を見ると3年ぶりに2週連続で1000億ドル超の残高が急増しており、この中身が銀行からヘッジファンドに回った分も含まれているとするならば、リスクオントリガーで株式に回されミニバブルの発生の可能性があります。そうなると、これまで継続してきた利上げ効果が薄れてしまい、インフレ再加速ということも考えられます。今後、FRBのかじ取りは制御不能となる可能性もあり、注意深く見ていかねばならないでしょう。

東証がアクティブETF解禁

ところで、日本の株価は6月ごろから急上昇する可能性があります。というのも、東京証券取引所がアクティブETFを解禁するからです(6月28日からという話しらしい)。現在、上場しているETFは日経平均やTOPIX、業種別指数などの連動するものばかりです。

世界の純資産残高5年前比較で5倍に

ところが海外ではESG(環境・社会・企業統治)関連や高配当企業ばかりに投資したり、リスクの高い債券ばかり組み込んで高利回りを目指したりといった具合に運用対象を指数連動ではなく、自由な商品設計されたETFの上場が拡大しています。東証は今まで「適格指数に連動する」ことをETFの上場の条件としてきました。しかし、世界市場のアクティブETF市場は右肩上がりで、昨年4月段階の世界の純資産残高は約4430億ドル(約60兆円)と5年前比較で5倍になっているのです。

大きな資金流入期待

そこで東証は遅れを取り戻すために法整備を進めており、一定のルールを設け、運用体制・方針の開示を徹底させて導入することになっています。ファンドマネジャーが個別株を調査し銘柄を選別する手法を取り入れたアクティブETFが導入されることで、今後、大きな資金流入が期待できるため、これを機に、株価が浮上していく可能性があるということになります。

日々勇太朗

 

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
 

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