昨年8月の急落から30週目の注目週
今週の東京株式市場は注目週となります。昨年7月11日に日経平均は4万2426円高値をつけたところから、7月31日の日銀利上げを切っ掛けに日経平均は急落し、8月5日には3万1156円まで下落しました。この8月第1週から今週で30週目を迎えています。
サイクルボトムから底打ちシグナル出る可能性
日経平均には概ね18週から30週程度でサイクルボトムをつける習性があります。そのため、今週はどこかで底打ちシグナルが出てくる可能性があるため注目週と言えそうです。今週は週末金曜日が先物・オプションの清算日(SQ)です。このSQを通過すると需給がフラットとなるため、流れが変わる可能性があるということ。
テクニカルチャート非常に悪く日米共調整局面
足元のテクニカルチャートは非常に悪いです。日経平均は本日、反発しましたが、未だに5日線を割り込んでいます。週足では13週線と26週線がデッドクロスしており、明らかにダウントレンドです。また、NY市場に目を転じても、主要3指数が全て5週、13週、26週線を下回っています。特にナスダック総合指数は2月18日高値からは11%超下落しており、日米共に調整局面入りしていることは明らかです。
日米以外、世界の株式市場は上昇
しかし、世界同時株安とはなっていません。本日は2%近い下げとなっていますが、今年1月13日の1万8671ポイントをボトムに先週末7日に2万4669ポイントまで32%もの上昇となったのが香港ハンセン指数です。また、ドイツのDAX指数は昨年12月20日の1万9649ポイントから、先週6日の2万3475ポイントまで19.5%上昇してきました。イギリスのFTSEは昨年末から9.7%、フランスのCAC40は14.7%、イタリアのFTSE MIBは16.2%上昇といった具合です。
NY市場から他市場へ資金が移る
これはどういったことかと考えるに、今まで世界一強市場だったNY市場への資金流入が止まり、NY市場から他市場へと資金が移りつつあることを意味しているものと考えます。欧州と中国は景気が悪いというのが共通項です。欧州中央銀行は先週6日、0・25%の利下げを発表し、昨年9月から5会合連続利下げを行いました。中国も足元は長期金利が上げだしてはいますが、この数年、利下げと準備預金率を繰り返し引き下げてきました。
欧州株は先行き景気回復の可能性高まり魅力的
先行きの景気見通しに対し、インフレが勝り、NY市場は利下げが足踏みしていますが、世界の株式市場をけん引してきたマグニフィセント7銘柄の業績の伸びが鈍化しだし警戒警報が鳴りだした中、先んじて連続利下げを行っている欧州の株式市場が、先行きの景気回復の可能性が高まり魅力的だということでしょう。
円高も企業業績堅調で賃金と物価の好循環
さて、日本は利上げを進めている国です。そのため、為替は円高になりやすい訳ですが、足元の企業業績は堅調で、また、春闘でも賃上げ要求が1993年以来32年ぶりの高水準となる模様で、賃金と物価の好循環が強まっていく可能性が高まってきました。
先んじて調整を続け株価収益率は15倍に低下
何よりも、先進国の中で、東京株式市場は先んじて調整を続けてきました。足元の日経平均3万7000円は、昨年7月高値から13%程度押しとなっています。その間、日経平均の一株利益は100円ほど増加し、株価収益率は17倍台から15倍に低下しています。割安感台頭と日柄30週調整で、そろそろ出直っても良いタイミングです。
レーザーテック高値の1/3、OLCは半値
このところ個別で見ていた銘柄はレーザーテック<6920>とオリエンタルランド<4661>です。レーザーテックは昨年5月23日高値の4万5500円から下げ続け、3月3日には1万2745円まで下落しました。10カ月間で1/3になってしまいました。オリエンタルランドは昨年1月の5765円から下げ続け、3月3日に3015円まで下落しました。1年2カ月で約半値になってしまいました。
レーザーテックは半導体関連銘柄で、天井打ちまで数カ月、東証の売買代金トップをひた走りました。オリエンタルランドはインバウンド関連の本命銘柄で、新型コロナの急落安値となった20年8月の2473円から倍以上になりました。
投げ売りの最中に悪材料を織り込み下げが止まる
株価というものは非常に面白いもので、投資家が不安に駆られて投げ売っている最中に悪材料を織り込んで下げが止まる銘柄が出てきます。また、逆行高する銘柄も出てきます。
2銘柄は指数に先んじて底打ちした可能性
トランプ政権発足後、関税発言連発で、日経平均は4万円~3万8000円のボックスを下放れました。テクニカルに精通している人ならば、戻り売り、ヘッジ売りスタンスです。しかし、日経平均が今朝、今回の調整安値を付けたにも関わらず、上記2銘柄は3月3日安値から上昇開始しており、指数に先んじて底打ちした可能性が出てきました。
三菱商事も調整完了サイン点灯
同様に昨年5月高値の3775円から37.7%もの調整を続けてきた三菱商事<8035>も2月20日に2351円で底打ちし、その後、ウォーレン・バフェットの「株主の手紙」以降上昇に転じ、5週線、13週線が上向きに転じだし、調整完了サインが点灯してきています。
日経VIがどこで20前後で落ち着くか
このように悪循環から好循環に移った個別銘柄が散見されるようになったため、今週がサイクルボトムを打つ可能性が高まってきたと考えています。あとは日経平均の恐怖指数である日経VIがどこで20前後で落ち着くのかです。日経VIは平時、18~25前後で推移しています。今回は、454円安した3月4日に瞬間31.6に跳ね上がりました。ただ、817円安した週末7日は28.87が高値で、817円安したにも関わらずVIXは低下しているのです。恐らくVIXが25割れともなれば、全体相場のリバウンド機運が高まるでしょう。
配当取りなどの動きから仕込み週
3月期末に向けた配当取りなどの動きが今度鮮明になる可能性があり、今週は各種指数や個別銘柄の動きを見ながら仕込み週となるように思っています。
日々勇太朗
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
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