上場市場の再編【転ばぬ先のテクニカル】

転ばぬ先のテクニカル|証券市場新聞
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2万1000円大台回復

 昨日の日経平均は続伸し、昨年12月18日以来の2万1000円大台を回復しました。昨年10月以降の下げ幅の41%を取り戻した形ですが、NY市場に比べると大きく出遅れたままです。高値は2万1205円までありましたが、75日移動平均線にタッチしたことで、利食いや戻り売りも出たものと思われます。

75日線を突破すると…

 ここより75日線を突破できるのかどうかが注目となりますが、ブレイクできた場合のレジスタンスは、昨年12月3日の戻り高値である2万2698円から12月26日安値である1万8948円の下落幅に対する61.8%戻しが2万1265円、また、昨年10月2日高値の2万4448円からの下落幅に対する半値戻しが2万1698円であり、2万1000円台回復後の上値の目処としてこの辺りを見ていくことになります。

上値は限定的?

 先週の週足が前週の陽線を陰線で包む陰線包み足となったことで、今週は調整色の強い週になるのではないかと考えていましたが、それを否定したことで更なる上値追いの可能性が出て参りましたが、2万1500円~2万2000円台での累積売買代金が非常に多いことから、上値もある程度限定的ではないかと思われます。

東証2部とジャスダック統合へ

 ところで、一昨日の全国紙が報じていますが、東京証券取引所が上場市場の再編を行うことに着手しており、東証一部の企業数を大幅に絞り込み、東証2部とジャスダックを統合して現在の4市場を3市場に見直すとしています。この話は昨年10月29日の「市場構造の在り方等に関する懇談会」が設置されたことで近い将来には、と憶測を呼んでいました。しかし、全国紙に掲載されたことから、近い将来にではなく、近々に行われる可能性が出てきました。

最上位市場の優位性低下

 現在、東証に上場する企業数は約3600社ありますが、そのうち東証一部銘柄が6割にあたる約2100社にのぼります。これは今まで20年以上に渡り、東京証券取引所が上場会社数を増やすため上場基準を緩和したことにありますが、数が多くなり過ぎたために最上位市場の優位性が低下してしまったという流れから見直しするというものです。

机上の理屈推し進められる

 ちょっと乱暴な気が致しますが、懇談会のメンバーが学習院大学大学院法務研究科の神田秀樹教授を筆頭に、立正大学の池尾和人・経済学部教授、野村総合研究所未来創発センター・フェローの大崎フェロー、日本総合研究所の翁百合・理事長、早稲田大学の黒沼悦郎・法学学術院教授、それに西村あさひ法律事務所の武井一浩弁護士と、6名全員が有識者であり、市場関係者は1人も入っていません。なので、このような机上の理屈が推し進められようとしているものと思われます。

信頼低下し株価急落も

 新たな上場基準は時価総額500億~1000億円を満たさないと東証一部から降格することになります。現行の約2100社が一気に600~1000社まで絞り込まれることになります。東証1部銘柄の実に半数以上が、2部に降格すると、投資家からの信頼が落ちることやTOPIX組み入れによる機関投資家の買い需要がなくなり、株価が急落することが考えられます。

1部銘柄は時価総額確認してから

 そのため、時価総額500億円に満たない東証1部銘柄は、生き残りを賭けて何が何でも株価を上げてくるケースも出てくるでしょう。市場再編が現実になってから動いたのでは、手遅れだからです。しかし、中には難しい企業も沢山ありますので、今後は東証1部銘柄を選択する場合は時価総額を確認してから判断せねばならないと思います。

日々勇太朗




株式情報と相場見通し

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