慎重な言い回しで警鐘
1月15日の当欄で「二番天井の可能性も!?」をお伝えして以降、移動平均線や一目均衡表の変化を捉えて慎重な言い回しで警鐘を発してきました。毎日お読み頂いていた賢明な投資家の皆様は大きな傷もなく、このところの下落に対して余裕で眺めていられることと思います。
NYダウ急落も…
先週末のNY市場はNYダウが久々に603ドル安と値幅を伴った急落となりました。新型コロナウイルスの感染拡大から世界景気に対する懸念がマーケットに伝播しました。ただ、まだ75日移動平均線上に位置しており、S&P500やナスダックは20日移動平均線を割り込んだに過ぎません。日経平均や独DAX、英FTSE100などに比べると軽微と言うことができます。
混乱避けるため様々な措置
そして週末の間にマーケットの混乱を避けるため様々な措置が発表されました。中国人民銀行は公開市場操作で昨日、約18兆7000億円を市場に供給すると事前通告で発表しました。過去15年で例の無い資金注入規模です。さらに中国の証券当局は国内の証券会社に対して顧客の空売り禁止を指導したという報道もありました。
株価維持にはなんでもあり
2015年チャイナショック時の株価対策では2兆円以上の株価の下支え策を発表後、株式市場の45%にあたる1300社の株式の取引を停止し、更に5%以上の大株主と経営者幹部に持ち株売却を6カ月間禁止したり、中国公安が悪質な空売りをする者を逮捕するなどエスカレートして株価維持のためになんでもありの措置を取りました。
金融緩和や財政出動も
今回の非常措置でも効き目がない場合は2015年に創設された「国家隊」といわれる政府系の機関投資家グループが上海総合指数の下落を食い止めるための動きが出ることも考えられますし、各国の中央銀行の更なる金融緩和や財政出動に進む可能性も考えられます。
問題は実体経済への影響
マーケットの短期的なパニックは避けられましたが、問題は実体経済にどれだけ影響が出ているのかでしょう。中国市場は春節明けとなりましたが、世界のサプライチェーンを担っている製造現場はまだ動いていません。経済都市の北京や上海、広東省をはじめとする多くの地方政府は企業の操業を独自に停止させており、多くの製造業の現場が稼働するのは早くて10日と伝えられています。
中国依存がいかに危険か
そして、今回のウイルス感染により中国依存がいかに危険かということを世界が認識したはずです。アメリカや日本はサプライチェーンを自国に戻すべきだと考えだすかもしれません。トランプ大統領が保護主義による製造業の自国回帰を訴えていましたが、棚から牡丹餅で回帰理由が得られた格好です。
本国や他国へ工場分散
昨日は中国湖南省で今度は鳥インフルエンザの発症も伝えられており、ウイルス国家、中国から本国や他国へ工場を分散する動きが今後静かに進むと思われ、その移行期間の生産が落ち込まないよう配慮が必要となります。
75日に接近すれば戻り売り
春節期間の間も各国の様々なマーケットは7営業日ほど開いており、急速な感染拡大をある程度織り込んできました。何が何でも中国がマーケットの混乱を避ける措置を続けるならば、東京市場も今後は日柄調整で落ち着くかもしれません。しかし、テクニカルチャートからは今回V字回復は難しいと思われます。75日移動平均線に接近すれば戻り売り対処と考えます。
日々勇太朗
大阪・船場発の経済情報マガジン 経済市場新聞 economypress
「新時代になった株式市場に大チャンスが来る」2月22日(土)第4回 株式セミナー in大阪
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