政府系ファンド【転ばぬ先のテクニカル】

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感染第2波への警戒感から下落

 12日の米国市場では米国政府の新型ウイルス対策チームを率いる国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長が上院での証言で、政府が示したルールに従わない早過ぎる経済活動の再開に警鐘を鳴らしたため、ウイルス感染「第2波」への警戒感が高まり下落する展開となり、引けにかけては下げ幅を拡大しました。

米株指数の位置関係異なる

 NYダウは5日移動平均線、25日移動平均線を割り込みました。S&P500とナスダックは5日移動平均線割れですが、この2つの指数は位置関係が異なります。S&P500は一昨日75日移動平均線近辺が重く、戻り売りが出たという印象。一方、ナスダックは5日移動平均線は割り込みましたが、25日移動平均線と75日移動平均線が8570ポイント近辺でゴールデンクロスしてきており、単なる押し目形成という形に見えます。

気になる政府系ファンドのニュース

 ただ、気になるニュースとしてはノルウェーが政府系ファンドから3820億クローネ(約4兆円)を引き出す計画というものです。政府系ファンドとは、各国の政府が出資する政府系投資機関が運営するファンドを指します。これは石油、ガスなどの天然資源による収入や、貿易黒字で膨らんだ外貨準備などの国家資産を財源として、将来の世代に向けた資金の蓄え、財政赤字の補てん、対外債務の支払いなどの目的で運用されます。

ノルウェー過去最大規模の資産売却

 今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴う都市封鎖に加え、原油価格の急落という二重苦により、西欧最大の原油輸出国であるノルウェーは2020年修正予算により、過去最大規模の資産売却を迫られているということです。少し古い資料で恐縮ですが、2016年のデータではノルウェー政府系ファンドは世界最大で、当時の資産(約9兆7000億円)であり、その4割ほどの資産売却ということになります。規模は9037億ドル(ランキングは以下、アブダビ8280億ドル、中国8137億ドル、クウエート5920億ドル、シンガポール3538億ドルと続きます)。

ナスダック銘柄に注意

 また、昨年夏にはノルウェー政府系ファンドはポートフォリオの入れ替えを行っており、欧州市場から資金を引き揚げる一方で米国株式に1000億ドルを投資したと当時ブルームバーグ通信が伝えていました。投資先はマイクロソフト、アップル、ネスレ、アルファベット、アマゾンなどが上位銘柄です。これらの銘柄への売り圧力が高まる可能性がありますので、特に米ナスダック市場銘柄には注意が必要です。

日々勇太朗




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