ドル円相場の連動性強まる
落ち着きを取り戻したかに見えた株式相場だが、9月に入り再び波乱含みの様相となった。米国で相場をけん引してきたエヌビディア株の下落がきっかけとなったが、足元では米国株動向よりドル円相場の連動性が強まっている。
株式市場がこれほど為替に敏感になっているのは、円安トレンドが始まった2021年以降初めて企業の想定レートを下回るまで急激な円高が進行したからだろう。想定レートは元々慎重になりがちで、過去数年の円安トレンドでは当然のように上方修正要因となっていた。
想定為替レートの平均は144円
今年度の場合、期初の円安時に設定された主要企業の想定為替レートの平均は144円で、企業数が最も多いゾーンは145~149円だ。一転減益要因になる可能性が高まるとともに米景気悪化懸念によりさらなるドル安もあり得るという警戒感がある。ドル円相場に神経質になるのは止むを得ないだろう。
140円台水準で安定するなら?
ただ、短期的にはここからの円高圧力はやや緩和するのではないかと見ている。円キャリートレードの多くと投機筋の円売りポジションはすでに解消に動いた。審議委員のアナウンスメントに関わらず、現状では日銀の早期追加利上げの可能性は低下している。短期間で20円幅を超える円高が進みテクニカル面の節目にも近づいた。米国が急激な景気後退に陥らない限り、ドル円相場は年末にかけ一方通行になりにくい時間帯になると予想する。円高の勢いが止まり140円台水準で安定するなら日本経済にとってマイナスではないだろう。
自民党総裁選のアノマリー
TOPIXの予想PERは14倍台(9/13現在)とアベノミクス以降の平均を下回る水準である。対してS&P500の予想PERは23倍強、米テック企業の多くは30~40倍まで買われている。日本株の割安感がさらに強まっている印象だ。自民党総裁選の期間は株高になりやすいとのアノマリーがあり、結果次第で意外高もあり得ると見ている。日経平均3万7000円以下はポジティブ材料に反応しやすい水準だろう。
個別では?
当面は、米国株安や為替相場で一時的なマイナスの影響を受けても早期に回復する底堅い相場展開を予想する。高配当銘柄のうち直近下落率の大きい主要銘柄の押し目買いが狙い。
個別ではミツコシイセタン(3099)三菱重工(7011)。米国景気悪化と長期金利急低下に備えるなら「米国債20年超ETF(為替ヘッジあり)」(2621)がある。
光世証券・エグゼクティブ・マネージャー 西川雅博氏プロフィール
1960年奈良県生まれ 1大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
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