徐々に落ち着きを取り戻す
10月末に衆議院選、直後の11月には世界が注目する米国大統領選と大きな選挙イベントが続く。市場の関心は内外の選挙動向に集まりそうだ。 10月は平時でも変動幅が大きくなりがちの月だが、今年は特に米大統領選前後まで不安定な相場展開が予想される。
衆院選に関しては、解散から選挙までは上昇確率が高いようだが、選挙後与野党の勝敗による明確なパターンはないようだ。年末から来年にかけては、日米とも新政権に対する不透明感が払拭され徐々に落ち着きを取り戻すと見る。
米景気指標には下振れには要注意
米国では9月の雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比25万4000人増と市場予想を大幅に上回った。利下げ開始後に強まっているソフトランディングが可能との楽観的見通しを裏付けた格好だ。
長期金利は9月中旬の3.6%から4%台に上昇している。リスクオンの米国株だが、過去の利下げ開始時には緩和期待が先行して株価や長期金利が一旦上昇しても、その後調整入りするケースが見られた。
米国株は金融緩和期待より景気動向に敏感になる局面に入っている。小売売上高やブレの大きい雇用統計などの景気指標の下振れには要注意だ。
ボラタイルな時こそ割安さを意識すべき
一方、日経平均は春先に4万円台に乗せた後は上値の重い相場が続き、リスク要因には短期的に過敏な反応が見られる。ヘッドラインと値動きの大きさに惑わされがちだが、ボラタイルな時こそ日本株のバリュエーションの割安さを意識すべきだ。
債券と株式のイールドスプレッド(長期債利回り-益回り)は米国がほぼイーブンなのに対して日本は▲5.6%である。潜在成長力の違いを勘案しても異常な差である。今後、金融正常化の動きがあるとすればそれは同時に株価の正常化も伴うだろう。日銀の「2%台の中立金利まで時間をかけて金利上昇を目指す」との方針は必ずしもネガティブ材料ではないはずだ。
大きな方向感を見誤るな!
TOPIXの予想PERは15倍(10/10現在)とアベノミクス以降の平均を下回っている。日本株の長期上昇相場はまだ始まったばかりとの認識だ。政治絡みのニュースはセンセーショナルで金融市場は過剰に反応しがちだが一喜一憂して大きな方向感を見誤らないことが肝要だ。
石破新総理が前政権の資産運用立国の政策を引き継ぐことを明言し、市場はひとまず安堵した。今後は市場の安定に不可欠な政治の安定を期待したい。
個別では?
当面は外部要因で一時的なマイナスの影響を受けても早期に回復する展開を予想する。個別にはTOYOTIRE(5105)、コマツ(6301)、川崎重工業(7012)など。
光世証券・エグゼクティブ・マネージャー 西川雅博氏プロフィール
1960年奈良県生まれ 1大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
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