ここからの下値は限定的|光世証券・エグゼクティブ・マネージャー 西川雅博氏【相場展望】

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適温経済でリスクオン

足元の米国経済は強弱が錯綜し方向感がつかみにくい状況にある。
11月の米ISM製造業景気指数は予想47.0に対し48.4と強い数字だったが、2日後に発表された同非製造業は予想55.7に対し52.1と3カ月ぶりの低水準となった。労働指標もマチマチで、株式市場では良好で安定的な適温経済と捉えリスクオンにつながっている。
前回就任時に株高をもたらしたトランプ次期大統領への期待は、閣僚人事や規制緩和方針を通じ時間を追って強まっている印象だ。大統領選後の11~12月は株高とのアノマリーにも沿っている。

投機マネーは過熱気味

ただ、ビットコインが初めて10万ドル台に乗り、合わせて暗号資産関連株が急騰するなど投機マネーが過熱気味になっていることには要注意だろう。テック銘柄の勢いも止まらない。ゴルディロックス(適温)相場とは、本来緩やかな経済成長と長期金利の低位安定が続く程よい状態である。現在の長期金利4%台は過去10年の平均2.5%と較べても相当高く低位安定とは言い難い。

FRBは更に難しいかじ取りを迫られる

高金利下でも投機マネーが幅を利かすのは、トランプ次期大統領の強烈なキャラクターに拠るところが大きい。インフレや株式相場の過熱を抑えつつソフトランディングを達成するのは市場の期待ほど容易ではないだろう。
今後、FRBはさらに難しいかじ取りを迫られそうだ。1月20日の就任式に向けトランプ流サプライズによるボラティリティ急上昇には留意したい。

今回のレンジ相場はまだ8カ月

一方、日本株式市場は、内外の大きな政治イベントを経ながら、相変わらずの膠着相場で弱気も強気も長く続かない。日経平均株価は、8月の一時的波乱相場を除けば、春先以降ほぼ3万8000円~3万9000円中心の小幅レンジ相場に終始している。2018年以降、日経平均株価は、2年程度の長期保ち合い相場を2度経験して今に至るが、今回のレンジ相場はまだ8カ月である。来年も3万8000~4万円中心の保ち合い相場が続くとみるのがメインシナリオだろう。

GPIF改定なら約10兆円の買い需要

現在平均PER15倍台の日本株に割高感は乏しい。バリュー株投資なら、レンジの中心近辺で買っても、配当利回り相当の期間収益を確保出来るイメージだ。
石破政権は、予算編成において、支持率上昇を図るべく経済・市場重視の政策に軸足を置かざるを得ないだろう。5年に一度のGPIFの基本ポートフォリオ改定では日本株比率の引き上げが期待される。25%から30%への引き上げで約10兆円の買い需要が発生する。
トランプ次期大統領により短期的振幅が大きくなっても下値は限定的とみる。

個別では?

個別ではミツコシイセタン(3099)、三菱商事(8058)、東京ガス(9531)など。

光世証券・エグゼクティブ・マネージャー 西川雅博氏プロフィール

1960年奈良県生まれ 大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp




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