予想以上のリスクオン相場
5月後半からAI・半導体関連株の大幅高が続き日経平均の上昇ピッチが加速した。3月31日安値から6月3日高値までの上昇率は実に36%である。足元ではさすがに上げ一服だが、日経平均株価としては大方の予想をはるかに上回るリスクオン相場となった。
二つの視点が必要
意外だが、イラン情勢をめぐる不安と楽観の揺れ動きが結果的にAI偏重相場を後押ししたかもしれない。一方、同期間のTOPIX上昇率は15%強に留まった。大半の投資家にとってはこちらが実感に近い。現下の相場分析には二つの視点が必要だろう。AI相場の持続性とその他バリュー銘柄の上げ余地、リスクリターン評価である。
5年前の海運株
AI・半導体関連株の上昇ぶりは凄まじいが、過去のバブル相場とは明らかに異質である。キオクシアが典型で、利益の変化スピードに株価が追いつけてないのが実態だ。規模が違うが似たような現象が5年前の海運株でも起こった。日本郵船の利益が20年3月期310億円から22年3月期1兆円に30倍以上になった急膨張期である。株価は20年9月期から1年間で6.7倍まで上昇を続けた後、高値から-38%の一時的調整を経て結局1年半後の22年3月期に7.4倍まで上昇したケースである。
株価が業績の急変貌を織り込み切れず、決算時期直前まで高値を追う恰好となった。
キオクシアHDは?
一方、キオクシアホールディングスは昨年9月の本格的上昇からすでに20倍前後の大化けぶりだが、期間はまだ9か月程度である。利益水準の絶対数値の裏付け(PER)とモメンタムが上昇相場を長期化させる可能性が高いとみる。
当時の海運株並みの日柄なら、上げピッチが緩んでも来年3月まで上昇が続くことになる。他方、TOPIX型銘柄についてはバリュエーションから割安銘柄が多く、テック株がスピード調整する場面で折に触れ物色されるイメージである。
引き締め観測の台頭には要注意
米国では好調な景気動向やインフレ懸念から利下げ観測が大きく後退している。今のところ利上げの可能性も低いが、22年3月にFRBが3年3か月ぶりに利上げに転じた際は、その3か月前にハイテク株が天井をつけ、約1年間の調整を余儀なくされたことには留意が必要だ。年後半に向け物価動向や雇用情勢から引き締め観測の台頭には要注意である。
米国の利上げは日本のAI・半導体株にも大きな影響を及ぼす。ただ、年内の米金融政策のメインシナリオは中立姿勢の継続とみている。
混然一体型の相場展開へ
一方、6月利上げ観測が強まる日本の金融政策だが、市場とのコミュニケーションが図られており、株式市場への影響は限定的となりそうだ。7月頃までは、配当の再投資や自社株・外国人買いで好需給が見込まれる。極端なAI関連株偏重から景気敏感株などTOPIX銘柄も物色される混然一体型の相場展開を予想する。個別には、アマダ(6113)日立(6501)野村HD(8604)など。
光世証券・エグゼクティブ・マネージャー 西川雅博氏プロフィール
1960年奈良県生まれ 大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp


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