AI投資手法がもたらした過剰反応の大幅下落
リーマンショック10年を迎え、平均株価は当時の安値から日米共に3倍以上になり、先般より大幅調整の教訓といった論調が目立っていたところに今回の急落である。ファンダメンタルズに大きな変化はなくバブルではないのが明らかだが、高度恐怖症的な投資家心理と幅を利かすAI投資手法がもたらした過剰反応の大幅下落だったと見ている。
長期的な下落トレンドが続く様相でもない
個別にも強弱マチマチな中間決算発表を受けてボラタイルな動きだが、下方修正については事前に相当織り込まれていたものが多いようだ。瞬間的にネガティブ反応があっても、すぐ急反発するなどここからさらに長期的な下落トレンドが続く様相でもない。ファナックのように、下方修正後をきっかけにアク抜けで大幅反発の動きにつながったケースもあり、今後決算発表が予定される銘柄にポジティブな影響があろう。また、最近はグローバル市場において日本株が米国株に先行して動く傾向があり注意したい。
間選挙後は結果に関わらず上昇するというアノマリー
11月6日の米国中間選挙を警戒する向きがあるが、4年に一度開催される中間選挙後の米国株は翌春まで半年間を見た場合、結果に関わらず上昇するというアノマリーが存在する。自社株買い禁止のブラックアウトが明ける決算発表後の11月は需給が大幅に改善することも期待される。米国株は徐々に落ち着きを取り戻していくだろう。
年末までに新高値更新もあり得る
米国において、貿易摩擦の悪影響が金融市場だけではなく、実体経済にも及ぶのではとの懸念が取り沙汰されだした。トランプ大統領にしてもディールに過ぎない強硬姿勢によって世論の反感が高まるのは本意ではないだろう。11月2日には米中首脳による電話会談が報じられ、米国株価上昇の材料になった。さらに日本のザラバ時間中には米中貿易合意が伝わってこれを機に日本株も大幅上昇の反応を見せた。詳細は不明だが、米国首脳会談を待つまでもなく、長く株式市場に影を落としていた通商問題に転機が訪れつつあるようだ。いずれにせよ泰然自若に構えるのが得策だろう。日経平均は早期の半値(2万2700円)戻し達成はもとより年末までに新高値更新もあり得ると見ている。
光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール
1960年奈良県生まれ 1982年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当
東京エレクトロン,米朝首脳会談,パウエルFRB議長,光世証券,西川雅博,米国通商政策
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