このまま長期下落トレンド入りする可能性は低い
世界が注目した12月1日の米中首脳会談で決裂という最悪のシナリオが回避されたものの、猶予期間90日間に警戒する向きが多いようだ。また、米国債券市場においてイールドカーブのフラット化(一部長短金利逆転現象)が起き、景気の転換点を示唆しているのではとの見方が売りを誘っている。しかし、株式市場はしばらく不安定な動きを余儀なくされたとしても、このまま長期下落トレンド入りする可能性は低いと考える。
システム売買の影響で短期間で値幅調整進む
米中の覇権争いという歴史的な命題はそう簡単に解消されないだろう。もし新冷戦時代到来した場合、世界経済への中長期的影響がどのような形で現れるのか、金融市場が計りかねていることが株価の乱高下につながっている面もある。ただ、政治的対立の消化が難しい一方で、足元の貿易摩擦問題は首脳会談により互いの経済的利益を優先し妥協点が見出される可能性が高まったことは評価される。交渉期限が来年2月末のためそれまでは不透明感が払しょくされないというネガティブな反応だが、システム売買の影響もあり短期間で値幅調整が一気に進んだと見るべきだ。米中対立への警戒感によるここからの下げは限定的ではないか。ソフトバンクの大型IPOの後は年末に向け需給面の改善も期待出来よう。
年にかけては再び株式、REIT、商品ともに堅調に推移
米国経済のファンダメンタルズは依然好調で大きな変調はない。信用状況を示す米ハイイールド債市況は、下落しているものの2015年から2016年の急落時に較べても平穏な値動きだ。今回利上げ打ち止め見通しが台頭したが、今後も継続するであろう金融引き締め期における一時的な事象であり、来年にかけては再び株式、REIT、商品ともに堅調に推移していくと見ている。
1580~1600近辺が重要な下値支持
日本株も同様で、TOPIXでは10/29の安値1589.56と昨年後半の上昇相場がスタートした起点でもある1580~1600近辺が重要な下値支持になるのではと考える。
光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール
1960年奈良県生まれ 1982年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当
東京エレクトロン,米朝首脳会談,パウエルFRB議長,光世証券,西川雅博,米国通商政策
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