コスト高の影響【転ばぬ先のテクニカル】

転ばぬ先のテクニカル|証券市場新聞
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衆院選を前に様子見

昨日の東京株式市場は小反落しました。前日505円高しただけに利食い売りが出ましたが下げは限定的でした。日経平均の日足は下髭の陽線形成で下値は5日線、25日線にサポートされました。しかし、出来高が低調であり、衆院選を前に様子見となっています。

原料高に運賃高騰も

足元では決算発表が本格化していますが、供給網(サプライチェーン)に加えてコスト高の影響がみてとれます。一昨日発表された富士通ゼネラル<6755>の決算は驚きでした。銅価格の高騰に加え、海上運賃の高騰もあり純利益が半減したと発表しました。最新の四季報では見出しが「増額」とあり、「受注残豊富な中東、欧米など海外急伸。材料調達難や物流コスト高も下期から徐々に改善。人民元高こなし営業増益幅拡大。連続増配」と書かれていただけに大きな影響があることが伺えます。

価格転嫁の度合い確認必要

同様に株価が急落したキヤノン<7751>も樹脂材料や半導体などの値上がりによるコストアップを見込み下方修正。今回の決算では各業界の価格転嫁の進展度合いを確認する必要がありましょう。

日本製鋼所が年初来高値

本日は日本製鋼所<5631>に注目したいと思います。一昨日に今年1月高値をクリアして年初来高値を更新しました。

東日本大震災で状況一変

同社は原子力発電用の圧力容器用部材が主力の会社でした。高品質が求められる世界最大規模の鋼塊から、一体型で製造する鍛造技術を有する企業は世界にほとんどなく、90年代の世界シェアは推定5~6割あり、原発業界では「ムロランが止まれば、世界の原発が止まる」ともいわれていました。しかし、東日本大震災で状況が一変します。福島原発の歴史的な事故で国内向けの原発向け部材の売上高は消滅。17年3月期までは3期連続の最終赤字を余儀なくされました。

産業機械分野へ構造転換

こうした中、同社では産業機械分野に経営資源を集中し、構造転換を進め、自動車向けのプラスチック射出成形機などへ注力してきたのです。そこで利益を出し始めたのが、電気自動車(EV)に動力源として搭載されるリチウムイオン電池(LiB)用のセパレーターフィルム製造装置です。セパレーターは正極と負極の接触を防ぎつつイオンを通す役割を担う樹脂製のフィルムのことで、大手調査機関によれば同社のセパレーター用のフィルム製造装置は世界シェアで7割に達しているということです。

テーマに乗り長期買い転換

これに続き、いま株式市場で注目されているのがEVの普及で需要爆発が期待されるパワー半導体の高機能材料です。株式市場のテーマに乗って株価は高値更新から長期買い転換となりましたので、今後の押し目は狙ってみたいと考えております。

日々勇太朗

 

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
 

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