円安効果も限界
先週の日経平均は前週末比約141円安と2週ぶりに週足陰線となった。
3月期決算企業の業績が出そろった。
全体では3期連続で最終利益段階で最高益を更新したが今期見通しは2%の減益予想となっており業績相場としては物足りない。
急激な円安で利益をかさ上げしていた輸出企業でも輸出総数は伸びておらず円安効果も限界に近づいているようだ。
スタグフレーションに陥る可能性
今回の日本の物価上昇は原材料費や円安でコストアップしたための値上げで需要が逼迫しての物価上昇ではない。
需要拡大による物価上昇であれば収益が向上し賃金が上昇し個人消費も活性化、そしてインフレになっていく。
だが、コストアップ型の物価上昇では逆に消費が低迷しスタグフレーションに陥る可能性が高くなってくる。
too little too late
それを緩和するために減税と称して6月より所得税、住民税合わせて一人4万円を減税する予定だがその金額では物価上昇に追い付いていないのが現状である。
「失われた30年」の間によく使われた言葉であるが「too little too late」である。
大胆な改革をせず小手先ばかりことをやってきたがこの期に及んでも同じことをやっている。
これでは期待先行で日本株を購入してきた海外投資家が追加購入ではなく利益確定売りを出してきても仕方がないだろう。
新NISA口座の新規拡大枠は米国株
若者中心に拡大する新NISA口座だが新規購入で拡大するのは米国株である。
当局との思惑とは裏腹に外国株を購入するため日本の貯金は海外に流れ出ていっているのである。
日本株は米国市場に左右されることが多い。だったら米国株を購入した方が相場全体のトレンドにあった動きになるということのようだ。
自分の年金が期待できない若者が資産形成で外国株を選ぶ傾向が強いという現状を政府はどう思っているだろう。
上場企業の配当性向の上昇や自己資本利益率の更なる上昇を行わないと長期投資を試みる若者にもそっぱを向かれる可能性はある。
「貯金から投資へ」の制度はできた。次は海外企業に比べて魅力ある企業作りがもっと必要だ。
今週のレンジは?
日経平均は一目均衡表の雲の上限と下限の中で推移している。しかし、13週移動平均線(3万8998円処)を上回ると売りが増え25日移動平均線(3万8295円処)に近づくと買いが入る状況である。
米国市場が利下げのタイミングの時期をめぐり相場が上下しているが概ね堅調な動きとなっている。
米国市場が大きく崩れない限り日本株も利益確定売りを消化する展開になると思われるが上値は重そうである。
今週のレンジは3万8100円~3万9100円を想定する。
(ハチロク)
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
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