日銀の出口戦略はまだまだ先【潮流】岡山 憲史

潮流|株式市場新聞
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YCCの運用柔軟化

日銀が7月28日に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用柔軟化を決めた。長期金利の誘導目標はゼロ%程度のままで、マイナス0.5%からプラス0.5%までの変動を許容する幅も保つ。ただし、その範囲を「メド」の扱いにしてある程度の上昇を容認し、代わりに新たに厳格な上限値として1%を据えた。

日銀の新政策は非常に分かり難い

新たな長期金利の上限を1%としたのは「1%までの上昇を容認する」という意図ではない。「もしものための安全弁」として、国債を無制限に買う措置の金利水準を1%に高めたまでの話だ。日銀の新たな金融政策は、非常に分かり難いものになった。

YCCの微調整はあくまで長期金利

植田日銀総裁は大規模緩和を継続する意向を強調した。さらに、今回の措置により「政策の正常化へ歩みだすということではない」として、短期金利の引き上げを含む出口戦略への意向を明確に否定。もっとも、YCCの微調整の対象は、あくまで長期金利である。

大きな影響を与えるのは実質短期金利差

円・ドル相場の方向に大きな影響を与えているのは、日米の実質短期金利差だ。現在、日米両国のインフレ率に大きな差はなくなった。しかし、政策金利に大きな差があるため、実質短期金利は米国の方が大幅に高くなっている。金利の高いドルが買われ、ドル高・円安が進む。

政策決定会合後の動き

政策決定会合前に1ドル=138円台まで円高が進んだが、その後は1ドル=143円台まで円安が進んだ。また、金融政策発表日の日経平均は一時、854円も急落する場面があったが、大引けは131円安の3万2759円で終えた。その2日後には3万3488円まで上昇。TOPIXは2322.56と33年ぶりの高値を更新した。為替と株式市場を見る限り、市場は日銀の出口戦略はまだまだ先と見ているようだ。

今回の急落はテクニカル的要因

8月2日、格付け会社フィッチが米国の外貨建て長期債格付けを引き下げた。米国市場で債券が売られ長期金利が上昇し、ハイテク株を中心に株が売られた。ダウ平均とナスダック総合指数の25日騰落レシオが140%を超え、過熱感が強まっていた。日本では日経平均が2日間で1,317円も急落した。海外投機筋(ヘッジファンドと(CTA)による225先物の売りプログラムが株の下落を加速させた。今回の急落はテクニカル的要因で長期化するものではない。買いのチャンスだ。

潮流銘柄は三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、トヨタ自動車(7203)、三菱商事(8058)。

 

岡山 憲史(株式会社マーケットバンク 代表取締役)プロフィール

マーケットバンクは1999年12月8日の設立から投資支援システムの開発・販売、金融情報サービス、投資売買助言、運用コンサル等を行っている。
2002年には画期的なペアトレード「ハイブリッドシステム」を開発。NHK番組「経済最前線」で紹介される。
2006年にテクニカル分析システム「マーケットルーラー」を開発。2007年にはテクニカル応用ツール「窓チャートシステム」を開発。2つの投資分析システムは全国の投資ソフト450本の中で共に人気ランキング1位となり、高い評価を得る。また、日経225先物運用システムを開発し、実践に活かしている。

代表の岡山憲史氏は1999年2月 日本初の資産運用コンテスト「第一回S1グランプリ」にて1万人超の参加者の中から優勝。
このコンテストはスカイパーフェクTVの資産運用情報番組「インベステーション」が主催。ゴールドマン・サックス投信、クレディスイス投信、野村アセットマネジメント投信などの協賛を得て行われたもので、プロの運用担当者などを含む1万人超の参加者を集めて実施。コンテストの開催時期(98年11月16日~99年2月15日)で、1億円の資金を1億3112万円(運用期間年利回り124%)に増やすという高成績をあげ、文句なしの優勝を果たす。
第二回大会においても、2カ月間で1億円の資金を2億1600万円に倍増させ、6位入賞。
2002年 1月 NHK番組「経済最前線」にて独自の投資支援システムが紹介される。
2005年12月 TBS番組「筑紫哲也のNEWS23」にて勝ち組企業として紹介される。
2017年 1月 夕刊フジ主催の「株-1グランプリ」において優勝。
2020年 1月 夕刊フジ「激闘!!株-1(カブワン)グランプリ」で優勝。
2022年 1月 夕刊フジ主催「株-1グランプリ」で優勝。
株式市場新聞、週刊ポスト、週刊現代、フライデー、月刊カレント等を執筆。
個人投資家に投資情報や個別銘柄、日経225先物の助言業務を行っている。

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp




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