75日線攻防【転ばぬ先のテクニカル】

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久々に大きな値幅伴う下落

昨日の東京株式市場は久々に大きな値幅を伴った下落となっています。新型コロナの感染拡大により大阪府が緊急事態宣言の要請を嫌気したのでしょうが、このところ商いが閑散な相場付きとなっていたことや、日経平均のリバウンド局面で上値を切り下げる動きが続いていたことも投資家心理に響いているのではないでしょうか。

リバランスの売り継続

これは13週連続で売り越している信託銀行の存在が原因と言われています。信託経由の売買は世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立法人(GPIF)のものが多いと見られており、ポートフォリオに占める債券比率より株式比率が株高により高まっていることから、リバランスの売りが継続しているものと思われます。

株式利食い債券購入

GPIFが公表している最新データの2020年第3四半期運用資産の構成割合をみると、外国株式25.36%、国内株式25.28%、外国債券25.71%なのに対し国内債券は23.64%です。そのため、株式を利食いして比率を落とすとともに、債券を購入して比率を上げる作業をしているものと思われます。この株式売りがどこで止まるのかが第一の問題点。

補欠選挙が第二の問題

次に、今のところあまり語られていませんが、来週25日の補欠選挙が第二の問題点です。参院長野県の補欠選挙は立憲民主党の羽田雄一郎参院幹事長の死去に伴い行われる選挙です。父は元首相の故孜氏で、「羽田党」と呼ばれる固い地盤を築いたところであり、与党自民党候補は苦戦しています。
衆院北海道2区の補欠選挙は、自民党の吉川貴盛元農林水産相の在任中の現金授受疑惑による辞任に伴い行われます。政治と金問題での補欠選挙で自民党は候補者の擁立を見送りました。元々北海道は自治労をはじめとする労組の厚い支持を背景に野党が強い地域であり、不戦敗を選択しました。
そして参院広島選挙区の再選挙は大規模買収事件で有罪が確定した河井案里元議員の当選無効に伴うものです。広島は自民党宏池会(岸田派)の牙城で保守王国ですが、事前の世論調査では保守層の2割近くが野党系に流れているということです。

連敗なら自民党内駆け引きも

今回の補欠選挙は菅政権で初めての国政選挙です。ここで連敗を喫すれば自民党内勢力の駆け引きが活発化する可能性があり、今年の総選挙を戦う上で首を挿げ替えるといったことを市場が読み始めているのかもしれません。

昨年3月以降上昇相場の踊り場

日経平均は2万9014円と大台割れを意識してひとまず止まっています。75日移動平均線(赤色の線)が2万9100円に走っていることで押し目買いも入ったことでしょう。昨年3月以降の上昇相場の踊り場では、この75日線が意識されて下値支持線として機能してきました。ここを維持できるのかどうかは非常に重要であり、注視せねばならないところです。

日々勇太朗

 

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
 

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