敗北宣言【転ばぬ先のテクニカル】

転ばぬ先のテクニカル|証券市場新聞
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23年末まで2度の利上げ示唆

注目された米FOMCではタカ派的な声明が発表されました。ドットチャートでは2023年の政策金利の利上げ支持者が前回の7人から今回は13人に、また、2022年の利上げ支持者も前回の4人から7人に増えました。FF金利の中央値は0.1%から0.6%に引き上げられたことから、2023年末までに2度の利上げを示唆しました。

インフレを押さえられない可能性

パウエル議長の記者会見での主な発言での注目点は、・インフレが予想以上になり持続する可能性もある。・インフレの経路や長期的なインフレ期待が持続して変化すれば金融政策を調整する準備がある。・利上げがあっても非常に緩和的だ。など、FRBがいままでどんなに強いインフレの統計数字が出てきても、「一時的(一過性)」のものとの判断を続けてきましたが、そうした判断が間違いで、今後の状況次第ではインフレを押さえ込むことが困難になる可能性を感じ、マーケットの動揺を最小限に食い止めるため言葉を選びなながらも敗北宣言したような形です。

2回の利上げ織り込むには少々時間

パウエル議長は会見で、供給制約が物価に及ぼす影響が予想より大きかったとし、インフレ率の上振れは予想より大きく、長続きする可能性に言及。これまではテーパリング(量的金融緩和の段階的縮小)後も緩和的な環境を維持するとしてきましたが、今回は「利上げ後も金融政策は緩和的にとどめる」とし、一気に利上げ後の世界を語るまでに踏み込みました。前回のFOMCで1回の利上げはある程度市場に織り込まれていると思われますが、今回は2回の可能性が高まったことで、織り込みには少々時間が必要でしょう。

日経平均は元のBOXに戻る

日経平均は今週絶妙のタイミングで上に抜け出したように感じましたが、昨日の下落により元のBOXに戻ってしまいました。6月15日の上放れ陽線と16日の孕みの陰線の両サイドに日足の窓があくアイランドリバーサルとなりました。5日線、75日線を下回ったことや一目均衡表でも遅行スパンが雲を割り込んでしまいました。週足では2万9085円の13週線、2万8877円の26週線、2万8867円の5週線とほぼ同レベルで収斂しており、2万9000円近辺から大きく下放れては崩れてしまいます。

NYダウ突っ込みに警戒

先日から主要3指数の中でNYダウだけが弱い形となっていることをお伝えしておりましたが、16日の下落により5日線、25日線、5週線、13週線を割り込んできています。一目均衡表では雲の中に突入し、転換線と基準線のデッドクロスが視野に入ってきました。本日はクアドルプル・ウィッチングであり、通過後は10日程度安い傾向にあることから突っ込みに警戒せねばなりません。

日経平均まずは25日線を守れるか

仮にNYダウが26週線(3万2650ドル)あたりまで下落するならば、日経平均は12カ月線の走る2万6500円近辺まであるかもしれません。その場合は絶好の買い場ということになりますが、その前にまずは2万8730円近辺の25日線を守れるかどうかを見ておきましょう。ここを割り込んだ場合は上述の移動平均線全てを下回ることになりますので、その場合は12カ月線まで節目らしいものがないということです。

日々勇太朗

 

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