長期債利回り急上昇し3日ぶり反落
本日の東京株式市場は3日ぶりに反落しました。先週末で決算発表が一巡し、材料不足の環境となっています。そんな中、日本の長期債利回りが足元、急上昇しており、株式の上値を買い上がる理由が見当たりません。
金融機関は3月決算見据えてポジション調整
本日の10年債利回りは一時、1.435%まで上昇しました。この水準は2009年11月以来、15年ぶりの高金利です。こうなると国債を大量に保有している金融機関は、3月決算を見据えてポジションを調整せねばなりません。利益の出ている株式を売ると同時に含み損を抱えている国債を処分する可能性があり、金利上昇による株式売りを警戒せねばならなくなります。
円債の保有比率大きくわずかな金利上昇でも影響
昨年末の10年債利回りは1.090%でしたので、ひと月半の上昇率は31.6%。そのため、国債の含み損は相当大きな額になっているものと思われます。2023年に長期金利の急騰で米シリコンバレー銀行が破綻しました。この時は、同行のポートフォリオが特殊だったことで日本の銀行には大きな被害はありませんでした。しかし、外債よりも円債の保有比率が大きいため、わずかな金利上昇でも影響を被ります。
小さな地銀などは投資対象から外す必要も
会社法には「分配可能額」という概念があります。会社が株主還元(配当や自己株取得等)を優先するあまり、債権者に損害を与えることがないよう、株主に分配できる金額には上限が設けられているのです。
大まかに言えば、単体ベースでの「その他資本剰余金」および「その他利益剰余金」の合計額から、自己株式やその他有価証券の評価損などを差し引くことで弾き出せるのですが、評価損は損益計算書を経由せずに純資産を直接変動させるため、評価損が膨らんで分配可能額がなくなると、たとえ黒字決算であっても株主還元ができなくなってしまうのです。
そうなると小さな地銀などは投資対象から外しておく必要があるかもしれません。
日銀は定例の国債買いオペも利回り抑えられず
急ピッチな利回り上昇に対し、日銀は本日定例の国債買いオペ(公開市場操作)を通知しました。1年超3年以下を3000億円、3年超5年以下も3000億円、5年超10年以下を3250億円、25年超を750億円の合計1兆円です。ただ、定例オペなので利回りを抑え込むには至っていません。
高田審議委一段のギアシフト進める局面との見解
そのため、日経平均は40円安程度で寄り付きましたが、その後、下げ幅を拡大しました。特に注目されていたのが日銀の高田審議委員の宮城県金融経済懇談会での講演です。そこで、「前向きな記号行動が生じてきたという点で、2%の物価安定の目標に近づいているとし、見通し実現なら一段のギアシフトを進める局面だ」との見解を示しました。
円買われ日経平均一時3万9000円割れ
高田氏の発言を受け長期国債先物は弱含み、為替市場では円が買われました。また、日経平均も一時3万9000円割れまであり、ヒヤリとさせられました。
10年債利回りどの水準で落ち着くか
17日発表の10~12月のGDP速報値が市場予想を上回ったことや、18日に財務省が実施した20年国債の入札が不調だったことで債券売りが加速しましたが、市場では日銀による利上げのターミナルレートが1%を超えるとの見方が高まっており、当面、10年債利回りがどの水準で落ち着くのかを見ておかねばならないでしょう。
日々勇太朗
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp


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