日米貿易交渉のインパクト【転ばぬ先のテクニカル】

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米賃金にも上昇圧力

 昨日の日経平均株価は小動きにとどまりました。先週末のNY株式市場では、今週中にも2000億ドルの対中関税が発表され、その後、第4弾の追加制裁の可能性を嫌気して下落しました。また、8月の雇用統計が朝方発表され、非農業部門の雇用者数は市場予想を上回り、久々に20万超。また、賃金の伸びが2009年のリセッション終了以降で最大となりました。米労働省の発表では、8月の平均受給は前年比で2.9%増加で前月の2.7%から加速。当然、9月の利上げは確実になったという以上に、いよいよ賃金にも上昇圧力が掛かり始めたとの見方ができることは重要です。

対日交渉ターゲットは自動車に加え農産物

 そうした中、トランプ米大統領が「対日貿易」を取り上げ始めました。対中国、対EUやメキシコが絡むNAFTA関連の一連の交渉に忙しく、対日問題への対応はやや先のことかなというイメージがありましたが、メキシコとの新たな貿易関係樹立に決着をつけることに成功し、すかさず「対日」を持ち出してきました。対中同様の戦略で対日交渉にも臨んだ場合、考えられることは、アメリカの対日赤字(約700億ドル)を半分にさせる要求でしょう。その場合のターゲットは自動車問題に加え、農産物の輸入の増加が考えられます。

相場は早くも織り込み進む

 今、総裁選を戦っている安部首相にとって、農産物は安易に反撃できる問題ではありません。となると9月20日以降の焦点ということになりそうです。マーケットインパクトとして考えられるのは「円高・株安」ということになりますが、8月の雇用統計を見る限り、米国の9月の利上げは確実であり、賃金に上昇圧力が掛かり始めたことで、円高要因ではなく円安・ドル高要因ということ。また、株安に関してはトランプ氏のツイートで度々揺れる可能性がありますが、先週の東京市場が558円安と水準を切り下げましたので、相場は早くも織り込みに進んでいます。

ポジション軽めで短期決戦

 そういう意味では、交渉次第の面もありますが、当面の下値はある程度限定的ではないかという見方になりましょう。今週末はメジャーSQです。今週はSQに絡んだ思惑が高まることが懸念材料であり、ポジションは軽めにして短期決戦が有効となりましょう。

日々勇太朗

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