6月末急騰時と違うのは?
関税交渉が15%で決着した直後、日経平均は2日で2000円幅を超える大幅高を演じた。ハイテク株と指数先物主導で4万円台を回復した6月末の急騰時と違い、自動車や金融などTOPIX型バリュー株が広範囲に物色された。NT倍率はピークアウトし大きく低下に転じている。税率が15%に下がったとは言え、本源的には無理難題を押し付けられた上に多少緩和され感謝させられるのは酷な話だ。
今回の急上昇の背景は?
今回の急上昇は、日本株の割安感や旺盛な買い需要が背景にあってこそだろう。上げが一時的と決めつけるのは短絡的過ぎる。関税の日本経済への影響は、GDPで▼0.1~▼0.2%、企業利益で▼5%程度の押し下げ効果との試算がある。この程度なら為替やインフレなど他の要因での消化は難しくない。IMFは関税交渉の進展を受けて2025年世界経済のGDP伸び率を2.8%から3.0%に、日本も0.6%から0.7%に上方修正している。
中期的な先高を示唆
7月23日、日経平均は1396円高(+3.51%)したが、アベノミクス以降、今回のように急落時の自律反発局面を除いて1日に3.5%以上上昇したケースは5回あった。過去5回のケースではいずれも4カ月以内に一旦10%以上の上昇を記録している。保ち合いを大きく上放れるような一日の大幅高は中期的な先高を示唆することが多い。今回に当てはめると11月頃までに4万5000円到達のイメージとなる。
消費支出も底堅さ示す
米国では、トランプ大統領の派手な言動、振る舞いとは裏腹に、実体経済も金融市場も安定的に推移している。テック企業の予想以上の好決算が株価に反映、株高の資産効果が堅調な消費をもたらすという好循環のメカニズムである。4-6月期のGDP速報値は予想の2.4%を上回る3.0%増であった。1-3月期の反動による輸入減が成長を押し上げた面があるものの、3分の2以上を占める消費支出も1.4%増と底堅さを示した。トランプ大統領が声高に叫んでも9月利下げの見通しは後退している。
米国信用取引残1兆ドル大台は要注意
一方、米国信用取引残高が初めて1兆ドル(約150兆円)の大台に乗せたことは要注意だ。雇用・景気に配慮しながら、実物のみならず資産インフレも警戒するFRBの金融政策はさらに難しい舵取りを求められる。ただ逆に、バブル相場への警戒感と利下げカードがいつでも切れるとの安心感は穏やかなリスクオンが持続する背景になる可能性が髙い。
戦略としては?
外国人の日本株買いが続いている。8月は例年の傾向からやや沈静化するかもしれないが、季節要因であり大勢に変化はないだろう。関税の不透明感が払拭されただけでは上値は限られるとの冷めた見方があるが、年後半に意外高は十分あり得るとみている。その場合は、関税の影響が明らかになるとともに、米国株高の持続や市場に好感される政治状況などが新たな株価支援材料となりそうだ。
戦略としては、9月中間決算の高配当と株主還元銘柄狙い。個別には三菱マテリアル(5711)、野村HD(8604)三井不動産(8801)など。
光世証券・エグゼクティブ・マネージャー 西川雅博氏プロフィール
1960年奈良県生まれ 大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp


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