リスクを過大評価すべきではない
日経平均は一時の勢いが止まったとはいえ、底堅い動きが続いている。米国ではダウとS&P500が最高値を更新し世界的にリスクオンの様相である。FRBにも攻撃を強めるトランプ大統領の強引さは相変わらずだが、市場の反応を見る限りトランプリスクは明らかに後退している。むしろ、建前論で覆われた従来の不明朗さよりも、単純明快な本音の情報発信を良しとしている感さえある。狙い通りかは別にして、株式市場にフレンドリーなトランプ大統領にとっては好都合の流れだ。気を良くしてトランプ流がさらにヒートアップする可能性があるが、リスクを過大評価すべきではないだろう。
パウエル議長は利下げに慎重姿勢を続ける
9月のFOMCを前にして足元米国の景気・インフレ指標に明確なトレンドが見られない。ジャクソンホールでのパウエル発言から9月の利下げはほぼ織り込まれているが、今後の利下げペースについては全く不透明だ。パウエル議長はかつて、1970年代にFRB議長を務めたアーサー・バーンズ氏が当時のニクソン大統領の意に沿ってインフレの芽が残る中、緩和策を繰り返しその後の大インフレ時代を招いた失敗について発言している。利下げには慎重姿勢を続けると見るのが妥当だろう。
1996年から1998年にも政策金利が現在のように方向感が定まらず高止まりした局面があった。インフレ抑制ための利上げが1995年1月に6.0%でピークアウトした後利下げに転じたが1996年1月に5.25%まで低下してから19998年9月までほぼ5%台で横ばいで推移した。この間S&P500は600から1200まで短期間で2倍の大幅上昇となっている。
継続的利下げが株価上昇の条件ではない
絶えず利下げ期待がくすぶる状況が株高の背景になった可能性がある。政策金利の見通しから現在も似た状況と言えなくもないだろう。当時は1998年8月のルーブル危機で一旦20%安の調整が入ったが、利下げ効果もあってその後のITバブルにつながる流れとなった。金利が安定的に高止まりしている状況は穏やかなリスクオンが持続する背景になり得る。必ずしも市場が期待する継続的利下げが株価上昇の条件ではないと考える。
PER17倍台は割高か?
日本株に関しては、外国人買いと自社株買いによる好需給が当面は継続するだろう。ここに来てアベノミクス以降の平均値に対して現在のPER17倍台が割高であると調整を示唆する論調がある。しかし、この基準は恒常的ではなく、すでに上方修正の過程に入っている可能性がある。インフレ時代に加え、物言う株主が市場でPER15倍程度で買い集めた株を20倍~30倍の高値で第三者に譲渡する成功事例が相次いでいる。18~20倍に平均値が上方修正されても違和感はない。米国ではすでにS&P500で2010年代の10倍台から20倍台にシフトしている。日本でも今期の利益予想に大きなが上振れが無くても株価の上値余地は残されているとみる。
個別では?
9月の米国株はややパフォーマンスが悪い傾向があり、もたつく局面も考えられるが、高配当と株主還元銘柄の押し目買いが基本戦略だろう。個別には小野薬(4528)、JFE(5411)東京ガス(9531)など。
光世証券・エグゼクティブ・マネージャー 西川雅博氏プロフィール
1960年奈良県生まれ 大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp


コメント