当面は高値圏レンジ相場|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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テクニカルな調整は致し方ない

4月以降大幅買い越しを続けてきた外国人投資家だが、6月第3週は現物で3604億円と13週ぶりの売り越しとなった。一方、個人は3446億円と大幅買い越しである。この週あたりから上昇ピッチが鈍り、日経平均では33000円台後半で上値が重くなった。
外国人には依然買い余力がありファンダメンタルにも大きな変化はないが、短期の上昇幅が大きかっただけにテクニカルな調整は致し方ないだろう。

日経平均予想PERレンジ上限は33363円

バリュエーションで見た場合、2006年以降で算出した日経平均予想PER(構成ウエイトを考慮した値)のレンジ上限(+1標準偏差)は33363円である。今回の上昇局面では6月14日に初めて到達した。その後は3万3500円~3万3800円のゾーンを何度もチャレンジして跳ね返され、やはり上値の壁となっている。

PER上限を超えたのは2回

過去、株価急上昇後にこのPER上限を超えたのは2013年のアベノミクスと2015年の黒田バズーガⅡ後ラリーの2回見られ、いずれもそれまでの急激な上昇相場は一旦終息している。2013年はその後急落に転じたが、今回は慎重に見ても後者である2015年パターンの高値圏レンジ相場に移行する可能性が高いと考える。その場合、当時の値幅に当てはめれば3万2400円-3万4250円の小幅レンジで期間は2カ月~3カ月が想定される。

米経済の方向感ははっきりしない

6月29日発表の米国の新規失業者保険申請件数は予想外に大幅減少となり、景気後退懸念がやや薄らいだ格好だ。ただ、先に発表された6月米PMI速報値は53.0と3カ月ぶり低水準で、米経済の方向感は相変わらずはっきりしない。金融政策の見通しも短期間で目まぐるしく揺れ動いている。現在はややタカ派に転じたが、1カ月程度の時間軸でも全くあてにならない観測だろう。

FRBのコントロールがうまく機能している

言い換えれば、市場が極端な楽観や悲観に偏り過ぎるのを嫌うFRBのコントロールがうまく機能している状況と解釈出来る。来年の大統領選を控え、ソフトランディングの成否が判明するまでにはまだ相当な時間がかかりそうだ

デフレ脱却の歴史的転換期を意識せよ

このように米国市場でゴルディロックスあるいは中立的状況が続くことは、グローバル資金の向かう先として日本株の優位性が継続することにつながる。テクニカル面では上昇相場が一服しレンジ相場が想定される局面だが、大勢長期上昇の方向感は変わらないだろう。繰り返しになるが、弱気に傾きがちになる場面ほどデフレ脱却の歴史的転換期を迎えていることを意識したい、

物色は?

低PBR・高配当利回りと円安メリット株の押し目狙い。個別では日本製鉄(5401)川崎重工(7012)三菱UFJ(8306)。

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール

 

1960年奈良県生まれ 1983年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

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