日銀の利上げはどこまで本気なのか?【潮流】岡山 憲史

潮流|株式市場新聞
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11年ぶりの1%乗せ

5月22日、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが上昇(債券価格は下落)し、一時1%を付けた。1%は2013年5月以来およそ11年ぶりである。1%は日銀が今年3月にマイナス金利を解除しイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)を撤廃するまで上限のめどとしていた水準で、10年以上続いた異次元緩和の終わりを意味する。

金利上昇は株式市場には大きなマイナス

長期金利上昇の背景は日銀が追加の金融政策修正に動くという市場の思惑だ。円安による物価押し上げを抑えるために日銀が早期に追加の利上げや国債買い入れの減額に動くとの見方が強まっている。金利の上昇は株式市場には大きなマイナスだ。ただ、日銀は長期金利が急激に上昇する場合は機動的に国債の買い入れ額の増額や、特定の利回りで無制限に買い入れる指し値オペなどの実施を表明している。

金利上昇は植田総裁自ら招いたもの

そもそも、今回の金利上昇は植田日銀総裁自ら招いたものだ。植田氏は4月26日の記者会見で、最近の円安について「基調的な物価上昇率に、今のところ大きな影響を与えているということではない」、「物価に無視し得ない影響が発生するということであれば、金融政策上の判断材料になる」と述べていた。必要ならいつでも利上げに動くと、必ずしも円安容認と受け取られる内容ではなかった。

植田総裁の一言が投機筋の餌食

しかし、記者から「円安の基調的な物価上昇率への影響は無視できる範囲だったという認識でよいか」と問われると、植田氏は「はい」と答えてしまった。この一言で投機筋の餌食になり、円が一時1ドル=160円台まで売り叩かれた。政府と財務省が円安に対する懸念を度々表明していたにも関わらず、植田氏の発言が円安を容認していると市場が捉えたのだ。

政府の意向で利上げは間違った金融政策

5月7日に岸田首相と植田日銀総裁が面会した後、植田氏は記者団に「円安については日銀の政策運営上、十分注視をしていくことを確認した」と述べた。日銀が5月13日に国債買い入れオペを減額したことは政府の意に沿った日銀の姿勢を表したものだろう。今後、日銀はどこまで本気で利上げを行なってくるのか、株式市場は日銀のスタンスを見極めるまで警戒感が続きそうだ。政府の意向で円安を抑えるために利上げを行なうことは間違った金融政策である。

潮流銘柄は?

潮流銘柄はサイバーエージェント(4751)、九州電力(9508)、ステラケミファ(4109)

岡山 憲史(株式会社マーケットバンク 代表取締役)プロフィール

マーケットバンクは1999年12月8日の設立から投資支援システムの開発・販売、金融情報サービス、投資売買助言、運用コンサル等を行っている。
2002年には画期的なペアトレード「ハイブリッドシステム」を開発。NHK番組「経済最前線」で紹介される。
2006年にテクニカル分析システム「マーケットルーラー」を開発。2007年にはテクニカル応用ツール「窓チャートシステム」を開発。2つの投資分析システムは全国の投資ソフト450本の中で共に人気ランキング1位となり、高い評価を得る。また、日経225先物運用システムを開発し、実践に活かしている。

代表の岡山憲史氏は1999年2月 日本初の資産運用コンテスト「第一回S1グランプリ」にて1万人超の参加者の中から優勝。
このコンテストはスカイパーフェクTVの資産運用情報番組「インベステーション」が主催。ゴールドマン・サックス投信、クレディスイス投信、野村アセットマネジメント投信などの協賛を得て行われたもので、プロの運用担当者などを含む1万人超の参加者を集めて実施。コンテストの開催時期(98年11月16日~99年2月15日)で、1億円の資金を1億3112万円(運用期間年利回り124%)に増やすという高成績をあげ、文句なしの優勝を果たす。
第二回大会においても、2カ月間で1億円の資金を2億1600万円に倍増させ、6位入賞。
2002年 1月 NHK番組「経済最前線」にて独自の投資支援システムが紹介される。
2005年12月 TBS番組「筑紫哲也のNEWS23」にて勝ち組企業として紹介される。
2017年 1月 夕刊フジ主催の「株-1グランプリ」において優勝。
2020年 1月 夕刊フジ「激闘!!株-1(カブワン)グランプリ」で優勝。
2022年 1月 夕刊フジ主催「株-1グランプリ」で優勝。
2024年 3月 夕刊フジ主催「株-1グランプリ」で優勝。
株式市場新聞、週刊ポスト、週刊現代、フライデー、月刊カレント等を執筆。
個人投資家に投資情報や個別銘柄、日経225先物の助言業務を行っている。

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp




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