宵の明星【転ばぬ先のテクニカル】

転ばぬ先のテクニカル|証券市場新聞
目次

続伸もNY足引っ張り上髭陰線

先週の東京株式市場は続伸しましたが、週末10日は急落となりました。週足は上髭の陰線形成。9日のNY市場は3日続落し、NYダウが200日線を割り込んできました。欧州やアジア市場は堅調推移してきましたが、心配の種だった軟調地合いのNYが足を引っ張る形となってきました。

ポジション調整売りとSVB暴落

NYの下落は10日の雇用統計を控えたポジション調整の売りが持ち込まれたことに加え、金融株の急落が重なったことが急落要因です。米国のテックベンチャー企業の貸し手であるシリコンバレー銀行株(SVB)が1日で60%の暴落となりました。

新興企業の預金多くコロナ直後預金膨らむ

Bloombergによると、同社は米国のベンチャーキャピタルを支援するスタートアップの約半分と取引があり、昨年はベンチャーキャピタルが支援するテクノロジー及びヘルスケア関連の上場企業の44%が同社顧客だったということです。同社はテクノロジーなどの新興企業からの預金が多く、コロナ直後に預金が急速に膨らみました。

資産売却と増資で株価暴落

そして資産のうち、まとまった金額が米国債や住宅ローン関連商品に向かいました。しかし、金利上昇が続いたことで米国債や住宅ローン証券は値下がりし、資産価値が大きく目減りした可能性があります。そのため脆弱な経営状態を嫌い、預金が急激に流出したものと思われます。そこで同社は資産売却と増資を発表したことで株価が暴落しました。

連鎖的に不安広がる可能性

シリコンバレー銀行の資産規模は最大手のJPモルガンの1/10以下で、金融システム全体からみれば必ずしも大きくはありません。ただ、このような事例は同社に限った話ではなく、急激な金利上昇によって苦境に立たされている金融機関は他にもあるでしょう。今後、連鎖的に不安が広がる可能性があるために、他の金融機関の株価も売られることになりました。

バッドニュース イコール バッドニュースに?

このところNY市場は「バッドニュース イコール グッドニュース」と捉える傾向にありましたが、金利の上昇が実体経済に悪影響を及ぼしだしており、シリコンバレー銀行の経営不安は今後、「バッドニュース イコール バッドニュース」として捉えるようになるのかもしれません。

海外投資家先物主導で足早い

2月27日に日経平均は長らく続いたBOX相場を上放れて上昇トレンド入りの可能性が高まりました。この週の投資部門別売買動向は示唆に富んだ内容です。年金を含めた金融法人の売りが減少する中、海外投資家は6994億円の買い越しでした。内訳を見ると先物を7989億円買い越す一方で、現物は994億円売り越していました。先物主導ということは、足の早い取引であることから、何かのキッカケで一転、売りに転じる可能性があるということ。

昨年5月はSQ通過後先物売り越し急落

昨年は5月12日の2万5688円から6月9日に2万8389円まで上昇しましたが、6月メジャーSQに向けて海外投資家が3週買い越して都合1兆4036億円の先物買いによる上昇でした。しかし、SQ通過後の6月17日週には9115億円の先物を売り越して、日経平均は6月20日に2万5520円まで急落するということがありました。

下放れの窓埋められなければ天井形成

10日の東京市場はNY安により下放れてスタートし、日経平均は日足の窓を形成しました。今週8日から9日の日足ローソク足は上放れとなり日足の窓を空けていましたので、10日の下放れの窓を埋められない場合は「宵の明星」という典型的な天井形成からの売りのパターンとなります。

早期SQ値回復と窓埋め必要

なによりも3月限SQ値が2万8377円と高く決まったことから、ここを上回れない間は下げ局面ということになります。これを避けるためには早期にSQ値を回復し、更に10日に作った日足の窓を埋める(2万8558円)必要があります。

日々勇太朗

 

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
 

株式市場新聞 marketpress.jp 株式ニュースと話題の銘柄

限定銘柄情報が満載!「株式市場新聞 公式メールマガジン」

購読会員限定コンテンツ

Pocket

転ばぬ先のテクニカル|証券市場新聞

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次