日本株の優位性を再評価|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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典型的な日柄調整

日本株は5月以降方向感に欠ける動きが続いている。日経平均で年初安値から3月高値までの上昇幅約8400円に対し、4月にほぼ半値押しの37000円割れで一旦底打ちした。
手掛かり難との解説だが典型的な日柄調整の局面だろう。昨年も日経平均は年前半の大幅上昇後の6月高値から10月末まで約4カ月の日柄調整を余儀なくされた。

再度日本株の割安感が増している

デフレからの脱却期待など春先の上昇相場時と外部環境に大きな変化はない。急激な上昇の後だけに3~4カ月程度の膠着相場は致し方ないだろう。5月は久々に米国株に対してアンダーパフォームになった。再度日本株の割安感が増していることは意識したい。

米国はインフレ懸念と利下げ開始期待で揺れ動く

足元米国では、5月のISM製造業景気指数が市場予想を下回り2カ月連続で低下した。労働需給でも緩和傾向が見られる。過去数カ月インフレ懸念と利下げ開始期待で揺れ動いてきた米金融市場だが、ここに来て利下げ後ずれ観測が後退している。6/5のカナダ中銀に続き、6/6にはECBが政策金利の0.25ポイント引き下げを決めた。予想通りとは言え2022年7月以来続いた金融引き締め政策の転換となり、米国利下げ開始を後押しするだろう。

実体経済と株価との乖離、景気後退に対する見極めが重要

現状、米国株式市場では長期金利の低下や利下げ観測がリスクオン要因と捉えられている。最終利上げから政策金利がピークを維持する期間は、利下げ転換期待から株高になりがちだ。
実際、1980年代以降8回の金融引き締めのケースでは内7回で最終利上げから株価は上昇した。全て似たような足取りで、一旦ピークを打つまで期間は平均で約270営業日である。今回の場合だと、昨年7月の最終利上げを起点に今年の8月あたりまでとなる。今後数カ月は実体経済と株価との乖離や景気後退に対する見極めが重要だ。2007年のケースでは利下げ開始の一か月後に株価はピークをつけている。
また、大統領選の年は9月~11月の投票日頃まで調整するというアノマリーがあり、今回金融政策転換期と重なることには要注意だろう。

日本株は全く事情が違う

エヌビディアなどテック銘柄を中心に利下げ期待が先行した米国株に対して、金融引き締めが取り沙汰される日本株は全く事情が違う。日本では利上げ観測が株価の上値を抑えている面があり、金融政策との関係では米国とは真逆の局面だ。今後米国の金融緩和は景気後退を伴うのに対して、日本の金融引き締めは確固たるデフレからの脱却と景気上昇が前提である。米国でリスクオフの動きになればハイテク株を中心に短期的な影響はあろうが、長期的視点に立てば、日本株の優位性や割安感が再評価される可能性がある。

バリュー銘柄の押し目狙い

バリュー銘柄の押し目狙い。個別にはキリンHD(2503)日清食品HD(2897)NXHD(9147)など。

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール
1960年奈良県生まれ 1大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp




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