大きな時代の転換点|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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グローバル資金の投資基準に見合う銘柄は国境を越えて活況

国内で新型コロナ感染者数の再拡大が続いているが、株式市場は極めて堅調に推移している。12月以降、日経平均は11月の急騰を受けやや上げ一服になったものの、個別ではソフトバンクGやトヨタなどの大型株が急騰を演じている。莫大なグローバル資金の投資基準に見合う銘柄は国境を越えて活況だ。

ポストコロナを見据える動きへ

米国ではコロナワクチンが相次いで緊急承認され接種が始まった。商品先物のCC指数はコロナ前の水準を大きく上回る水準まで上昇し、世界景気回復を先取りする動きが見られる。株式をはじめグローバル市場でウイズコロナから徐々にポストコロナを見据える動きが強まろう。

新しい時代の兆しか?

今年の日本株式市場はコロナ禍による歴史的急落からその後の急上昇で、大きく揺れ動く1年となった。日経平均の高値と安値の差は1万円幅を超え、バブル崩壊から急落した1990年の1万8491円以来の値幅である。「波高きは天底の兆し」との相場格言通り前回はその後の日本株長期低迷の始まりであったが、今年の大変動は脱デフレに向けた新しい時代の兆しかもしれない。

景気敏感株やバリュー株に底堅さ

年後半の戻り相場はコロナ禍でも高収益を持続出来る値がさハイテク株やオンライン関連銘柄が主導した。結果的にNT倍率は一時15.14倍(12/1)まで上昇したが、足元では一転低下基調が見て取れる。TOPIXに連動しやすくコロナ禍で大きな打撃を受けた景気敏感株やバリュー株には出遅れ銘柄が多く底堅さが出てきたようだ。

予想増益率は春頃までにじりじり上方修正へ

ただ、ROEなどグローバル投資家の投資基準を満たしていることが、パフォーマンスの差に影響している傾向もある。現在のコンセンサスである日経平均来年度増益率40%ではEPSが1500円、2万7000円水準でPER18倍となり上値は限られてしまう。利益率の低い日本のバリュー株が一段高するためには来年度の予想平均増益率の上振れが必須だが、ワクチン普及の進展により年明け以降は楽観見通しが強まり、予想増益率は春頃までじりじり上方修正される可能性が高いと見ている。

バブル懸念には幅広い視点が必要

一方、来年のリスク要因として株価の大幅上昇によるバブルを懸念する向きがあるが、この点に関しては株価の上昇ぶりだけでなくもう少し幅広い視点が必要だろう。コロナ禍は従来からの課題であったDXやAIによる生産性向上や構造改革を早めた。コロナの感染状況に関わらず、企業収益への影響は加速していく可能性が高いのではないか。

SDGsが地球規模の重要テーマ

加えて、米国大統領にバイデン氏が就任したこともあり、SDGsが地球規模の政策課題としてより現実味を帯びてくることも来年の株式市場の重要テーマになりそうだ。とりわけ日本ではカーボンニュートラルが菅政権の主要政策課題であると同時に国家の壮大な長期目標であることから、折に触れて株価材料と取り上げられるだろう。

日経平均予想EPSは50%程度の上方修正も

ワクチン普及によってコロナ禍が収束に向かう期待が高まれば、来年度の日経平均予想EPSは50%程度の上方修正もあり得ると見ている。アベノミクス以降の平均PERは16.11倍だが、上限の△1標準偏差18.18倍なら2万9000円水準となる。米国をはじめ主要国の金融政策が引き締めに転じる兆しには注意すべきだが、もし一時的な波乱に見舞われても大きな時代の転換点にあるとの認識で臨みたい。

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール

1960年奈良県生まれ 1982年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp

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