米商業不動産問題【転ばぬ先のテクニカル】

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レンジ相場上放れ一気に上値追い

本日の東京株式市場は大幅反発し、TOPIXはバブル崩壊後の高値を更新しました。日経平均も1月23日の3万6984円に接近し、高値更新が視野に入ってきました。この3週間の日経平均は3万5700円~3万6400円でのレンジ相場となってきたため、当欄では連日、どちらに放れるのかに注目として、放れに付けとお伝えしてきました。本日はレンジ上限を上に放れたことで一気に上値追いとなりました。

SBGとアドテスト、東エレクなども指数牽引

ただ、日経平均は743円もの大幅高ですが、これは寄り付きからのSBGの急騰によるものです。7日の米国市場の取引終了後にSBG傘下の半導体設計大手アームの決算が発表されました。10~12月期は売上高が前年同期比14%増となり、同社株価は時間外取引で30%もの急騰。それによりアームの時価総額が2兆円程度増加しており、SBGの資産価値増加を好感しているのです。また、半導体SOX指数が1.6%上昇したことでアドバンテスト、東京エレクトロンなども指数を牽引。

買戻しとヘッジ買いが重なり一気に上値追い

明日はオプションSQとなりますが、海外勢のポジションは3万5500円~3万6000円での着地を目論んだ建玉が多かったところへSBGが急騰となったことで、先物によりヘッジ買いが入り日経平均が上昇している部分もあるのでしょう。そのため、買戻しとヘッジ買いが重なり一気に上値追いとなりました。

5銘柄で541円も日経平均を押し上げ

ただ、上述の通り日経平均寄与度上位の値嵩株の急騰で押し上げられており、ランキングを見るとSBGで146円、ファーストリテイリングで132円、アドバンテストで123円、東京エレクトロンで95円、テルモで46円といった具合で上位5銘柄で541円も日経平均を押し上げています。

急騰はCTAなどの仕掛けで素直に付きにくい

一方、プライム市場の騰落数を確認すると値上がり584銘柄、値下がり1013銘柄と約2/3が値下がりしており、明日のSQ通過後は先物を買い上げる理由がなくなることから、本日の急騰はSQに絡んだCTAなどの仕掛けによるものとも考えられ、レンジを上放れたからといって素直にトレンドに付きにくいところです。

米商業用不動産問題は日本ではあおぞら銀行

ところで、ここにきて米商業用不動産問題が浮上してきています。1月末に米地方銀行のニューヨーク・コミュニティ・バンコープが一時46%安と急落。決算が予想外の赤字に転落し、配当を減額したことが嫌気され売りが膨らみました。日本ではあおぞら銀行が米不動産向けローンで引当金を積むことにより、今期の最終損益が従来の240億円の黒字から280億円の赤字に下方修正。3200円していた株価は2080円まで暴落となりました。

欧州にも飛び火し独PBBの社債急落

そして今週は欧州にも飛び火し、影響拡大への懸念を強めています。直近ではドイツ金融機関のドイチェ・ファンドブリーフバンク(PBB)も犠牲になりました。不動産セクターへのエクスポージャーに対する懸念から社債が急落したのです。同行は7日に「不動産市場の低迷が続いている」ため引当金を積み増したと予定外の発表を行いました。

2008年のサブプライム危機と同じ構図

金利上昇によって世界中の不動産の価値が低下したことで融資が不良債権化し始め、銀行は不動産所有者や開発業者への貸し付けに対する引当金を増やしているのです。なにやら2008年のサブプライム危機と同じ構図になりつつあり、注意が必要です。

日々勇太朗

 

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
 

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