金融不安過ぎ去る【潮流】岡山 憲史

潮流|株式市場新聞
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2012年以降で最大の外人売り

外国人投資家は3月第3週(13~17日)に日本株を現物・先物合計で2兆3730億円売り越した。記録をさかのぼれる2012年以降で最大となる。
欧米の金融不安でリスク回避姿勢が強まり、買い込んでいたバリュー株(割安株)や株価指数先物を一気に売却した。主要な売り手となったのが先物中心の売買を手掛ける短期勢だ。年初から日本株を買い持ちしていたマクロ系ヘッジファンドなどが、一気に売りに転じた。外国人投資家は3月第2週(6~10日)まで9週連続で買い越し、累計の買越額は3兆8000億円に上っていた。

相場を支えたのが個人投資家

海外勢が大きく売り越す中、相場を支えたのが個人投資家で、3月第3週の個人の現物・先物の合計買越額は1兆944億円と、12年以来の最大の買い越しとなった。株価の下落局面で、個人が銀行などのバリュー株を中心に押し目買いに動いた。

売り転換は欧米の金融不安

ヘッジファンドが買いから売りに転換したきっかけは欧米の金融不安だ。3月10日に米銀シリコンバレーバンク(SVB)の破綻が明らかになり、続いてシグネチャー・バンクが破綻、さらにファースト・リパブリック・バンク(FRC)も信用不安に巻き込まれ株価が急落した。
15日にはスイス金融大手クレディ・スイスの株価も急落、4日後にはスイス金融大手のUBSが同社を買収すると発表した。SVBは米東部ノースカロライナ州地盤の銀行持ち株会社、ファースト・シチズンズ・バンクシェアーズが買収することで合意した。

金融システム危機とは全く違う

SVB破綻の原因はALM(資産・負債の総合管理)の失敗だ。クレディ・スイスは自己資本拡充のため株式とも債券とも区別のつきにくい複雑な仕組みのAT1債を大量に発行しながらリスクビジネスに走り、経営が傾いた。SVBやクレディ・スイスのケースは個別要因であり、過去のような実体経済の大幅な悪化をベースにした不良債権の急増と自己資本の劣化に繋がった金融システム危機とは全く違う。

SVB破綻は個別事案

FRB(米連邦準備理事会)で金融規制担当のバー副議長は3月28日の上院銀行委員会の公聴会での証言でSVBの破綻については個別事案であると発言している。
株式や債券、為替市場を見てもヘッジファンドのポジション整理も終わり、過度な金融不安は過ぎ去ったようだ。

潮流銘柄は?

潮流銘柄は未来工業(7931)、信越化学(4063)、エフ・シー・シー(7296)。

 

岡山 憲史(株式会社マーケットバンク 代表取締役)プロフィール

マーケットバンクは1999年12月8日の設立から投資支援システムの開発・販売、金融情報サービス、投資売買助言、運用コンサル等を行っている。
2002年には画期的なペアトレード「ハイブリッドシステム」を開発。NHK番組「経済最前線」で紹介される。
2006年にテクニカル分析システム「マーケットルーラー」を開発。2007年にはテクニカル応用ツール「窓チャートシステム」を開発。2つの投資分析システムは全国の投資ソフト450本の中で共に人気ランキング1位となり、高い評価を得る。また、日経225先物運用システムを開発し、実践に活かしている。

代表の岡山憲史氏は1999年2月 日本初の資産運用コンテスト「第一回S1グランプリ」にて1万人超の参加者の中から優勝。
このコンテストはスカイパーフェクTVの資産運用情報番組「インベステーション」が主催。ゴールドマン・サックス投信、クレディスイス投信、野村アセットマネジメント投信などの協賛を得て行われたもので、プロの運用担当者などを含む1万人超の参加者を集めて実施。コンテストの開催時期(98年11月16日~99年2月15日)で、1億円の資金を1億3112万円(運用期間年利回り124%)に増やすという高成績をあげ、文句なしの優勝を果たす。
第二回大会においても、2カ月間で1億円の資金を2億1600万円に倍増させ、6位入賞。
2002年 1月 NHK番組「経済最前線」にて独自の投資支援システムが紹介される。
2005年12月 TBS番組「筑紫哲也のNEWS23」にて勝ち組企業として紹介される。
2017年 1月 夕刊フジ主催の「株-1グランプリ」において優勝。
2020年 1月 夕刊フジ「激闘!!株-1(カブワン)グランプリ」で優勝。
2022年 1月 夕刊フジ主催「株-1グランプリ」で優勝。
株式市場新聞、週刊ポスト、週刊現代、フライデー、月刊カレント等を執筆。
個人投資家に投資情報や個別銘柄、日経225先物の助言業務を行っている。

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp




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