短期的に上値トライも|光世証券・エグゼクティブ・マネージャー 西川雅博氏【相場展望】

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エンジン全開のトランプ2.0

いよいよトランプ2.0がスタートした。昨年来トランプ流サプライズに戦々恐々と警戒していた金融市場だが、米国株式を中心に概ねリスクオンの反応となった。米国第一主義、環境政策、外交など大幅な方針転換表明も想定の範囲内だろう。むしろ、AI関連巨額投資や宇宙開発計画に見られるように具体策に踏み込んだ経済成長重視の姿勢はポジティブサプライズと捉えられる。FOMCへの利下げ要請発言などスタートからエンジン全開の印象だ。

予想を超える速度で政策遂行

前回第一次トランプ政権では様々な物議を醸しながらも株価は上昇、S&P500の上昇率は4年間で70%に達した。ただ、今回は前回2017年就任時と金利水準も株価位置も全く違う。2年連続20%以上上昇した米国株が今年も大きく上昇するのは簡単ではない。
前回を連想して期待が先行しているというより、今回はより経済成長やマーケットに軸足を置かざるを得ないとの期待が高まっている。米国第一主義を掲げるトランプ大統領といえども、最終目的として「グローバル経済を前提にした持続的成長の実現」からは逸脱出来ないとの認識だ。加えて議会も共和党が抑えるトリプルレッドの状況である。国際的紛争の幕引きなど市場予想を超えるスピードで政策遂行が実現される可能性がある。

上値は簡単でなくても下値も限定的

一方、日本では1月24日に日銀が昨年7月以来の政策金利引き上げを決めた。トランプ大統領が「世界的に利下げをすべきだ」と表明したタイミングだが、事前予想を含めて市場の反応は比較的落ち着いている。日銀が懸念する市場の不安定さが解消され波乱なく利上げできたことは、今後の金融正常化に向けてプラス要因だろう。
日経平均は再び昨年秋以降のレンジ相場の上限4万円台を回復した。ここからの上値は簡単ではないが、その反動としての下値も限定的との構図は変らない。むしろ、内外の重要イベントを通過した安心感から短期的には上値をチャレンジする可能性は高まったと見るべきだろう。

日本株が米国株をアウトパフォームする可能性高い

イールドスプレッド(長期金利―PERの逆数)は米国株の0%に対して日本株は株価も金利も上昇気味ながら依然▼5%水準である。昨年日米間のバリュエーション格差はさらに拡大した。米国株は長期金利との比較において絶対値でも警戒水準に近づいている。今年は日本株が米国株をアウトパフォームする可能性が髙いのではないか。

高配当ややグローバル銘柄の押し目買い

石破政権は低水準の支持率でスタートしたが、市場の評価はまだ定まっていない。新年度予算編成で求心力浮上の政策発動が示されれば、冷めた見方が多いだけにポジティブサプライズの反応があってもおかしくない。3月決算に向けて、高配当利回り株やグローバル銘柄の押し目買いが有効と考える。
個別には、昨年末から平均株価をアウトパフォームしている任天堂(7974)東京エレクトロン(8035)野村證券(8604)など。

光世証券・エグゼクティブ・マネージャー 西川雅博氏プロフィール

1960年奈良県生まれ 大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp




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