大幅調整の可能性小さい|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

光世証券・執行役員 西川雅博|企業速報 証券市場新聞
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日柄面によるテクニカルな調整局面

 コロナショック後の戻り相場も6月以降は一巡感を強めてきた。世界的な感染の再拡大懸念が取り沙汰されているが、外部環境が極端に悪化したとは考えていない。V字回復を先取りして予想以上に急騰した相場の反動が出ており、日柄面によるテクニカルな調整局面であろう。景気底割れや金融市場の混乱を防ぐために発動された各国の財政・金融政策は強力な下値支え効果があり、ここから大幅調整の可能性は小さいと見ている。

9月短観以降で回復傾向が確認か?

 6月の日銀短観で大企業製造業DIがマイナス34となりリーマンショック以来の落ち込みとなった。コンセンサスよりは若干悪かったがほほ想定の範囲内だ。リーマンショック時、同DIのボトムは09年3月のマイナス58だったが、当時の日経平均もほぼ同時期に7054円の歴史的安値をつけ戻り歩調に転じている。景況感の回復ピッチは今後のコロナの感染拡大状況や業態によってやや不透明感が残るものの、次回9月短観以降はトレンドとしての回復傾向が確認されるのではないだろうか。

金融財政政策でも大きな方針転換は出来ない

 コロナに加えリスク要因として意識されるのが米中対立問題とアメリカ大統領選であろう。相互に関連する問題ではあるが、当事者の発言や選挙予測などで今後短期的なボラティリティー上昇につながる可能性は否定できない。ただ、コロナ禍による深刻な経済危機の中にあっては、大統領選の結果如何によらず米中の決定的対立は回避されるだろうし、金融財政政策でも大きな方針転換は出来ないと見るのが妥当であろう。

素直にリスク資産の比重を高めに維持

 調整局面であっても、アベノミクスから始まった日銀の大規模緩和はコロナ禍でさらに拍車がかかり、その上、異次元大規模緩和がFRB、ECBと世界中でも実施されているという時代認識が重要だ。かつてない規模の過剰流動性がリスク資産に与える影響は甚大である。相変わらず上がっても下がっても慎重論が幅を効かしがちだが、ここは素直にリスク資産の比重を高めに維持すべきだろう。

金先物取引(金価格)にも注目

 長期的視点からアフターコロナにおいても安定的な収益が見込める割安株の押し目を狙いたい。個別では武田薬(4502)三菱商事(8058)、NTTドコモ(9437)など。また、世界で1000兆円を超える未曾有の財政対策がインフレ期待に繋がるという側面から、今月末に大阪取引所で取引が開始される金先物取引(金価格)にも注目している。




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