米中貿易戦争の仕掛け~「ナバロ・ペーパー」基に軍事摩擦の側面【潮流】岡山 憲史

潮流|株式市場新聞
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過激な通商政策の手本は?

トランプ米大統領の過激な通商政策は2016年に元カリフォルニア大教授のピーター・ナバロ氏が書いた「ナバロ・ペーパー」に基づく。
トランプ氏はナバロ氏とウォール街の投資家だったウィルバー・ロス氏に依頼し、同文書をトランプ政権用に手直しさせた。「ナバロ・ペーパー」は、中国は最大のペテン師であり、米国にとって最大の貿易赤字国でもある。1947年から2001年までの米経済の平均成長率は3.5%。2002年以降は1.9%と低成長。その一因は2001年の中国による世界貿易機関(WTO)加盟だ。貿易の不正が続くなら、防御的な関税を課すといった内容である。

先端技術が軍事転用される危機感

現在、ナバロ氏は大統領補佐官に、ロス氏は商務長官としてトランプ政権の通商政策を主導している。ただ、トランプ大統領の通商政策は過激さを増し、自動車の広範な輸入制限の検討にも着手するなど、「ナバロ・ペーパー」を超えて暴走している。トランプ大統領が中国のハイテク分野を目の敵にするのは、先端技術を軍事転用されるリスクがあるからだ。
アメリカ合衆国通商代表部(USTR)の報告書では、中国人民解放軍が主導してUSスチールやウエスチングハウスなど米企業にサイバー攻撃を仕掛け、ハイテク技術を盗み出していると暴露した。また、米アップルが持つ自動運転の技術情報を盗み、中国のEVメーカーに持ち込もうとして元社員の中国人が逮捕された。

アメリカ産業の衰退が軍事力の弱体化につながる

ナバロ氏は「長期的な貿易赤字の末に防衛産業を海外に移すことになれば、アメリカは広範な戦争で敗北を喫する」と警告している。トランプ大統領は安全保障と通商問題を天秤に掛けて各国と交渉するが、そこにはアメリカ産業の衰退が軍事力の弱体化につながるとの危機感がある。貿易問題を巡る米中の対立は軍事摩擦の側面もあるのだ。習近平国家主席が打ち出した産業政策「中国製造2025」に基づき、ハイテク産業の内製化を急ぐ中国の国家戦略に真っ向から対立することになる。

グローバルで経済危機など発生するリスクは無い?

一方、株式市場は米中貿易戦争など政治ショーであり、関税が引き上げられ、サプライチェーンへの懸念が意識されても、グローバルで経済危機など発生するリスクは無いと捉えている。

潮流銘柄は?

潮流銘柄はMTG(7806)、ブレインパッド(3655)、アトラ(6029)。

7月16日「潮流」3銘柄の解説|岡山 憲史【株式投資テレビ】も併せてご視聴ください。




岡山 憲史(株式会社マーケットバンク 代表取締役)プロフィール

1999年2月 日本初の資産運用コンテスト「第一回S1グランプリ」にて約1万人の参加者の中から優勝。
このコンテストはスカイパーフェクTVの資産運用情報番組「インベステーション」が主催、
ゴールドマン・サックス投信・クレディスイス投信・野村アセットマネジメント投信などの協賛を得て行われたもので、
プロの運用担当者などを含む1万人以上の参加者を集めて実施。
コンテストの開催時期(98年11月16日~99年2月15日)は日本株式市場がバブル後最安値を付けに行く最悪の環境にもかかわらず、
1億円の資金を1億3112万円(運用期間年利回り124%)に殖やすという脅威の成績をあげ文句なしの優勝を果たす。
第二回大会においても、2ヶ月間で1億円の資金を2億1600万円に増加させ、6位入賞。
1999年12月8日にマーケットバンク設立。17年以上にわたって株式投資で安定した高パフォーマンスを継続して出すことのできる
画期的な運用手法とサービスを提供している。

2002年1月にNHK番組「経済最前線」にて独自の投資支援システムが紹介される。
2005年12月TBS番組「筑紫哲也のNEWS23」にて勝ち組企業として紹介される。
直近では2017年1月に始まった夕刊フジ主催の「株-1グランプリ」において優勝。
1ヶ月間で3銘柄の合計パフォーマンスを競います。最終のパフォーマンスは155%と断トツの結果。
週刊現代、週刊ポスト、夕刊フジ、ネットマネー、月刊カレントなど幅広く執筆活動を行っている。

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