大幅反落で陰線包み足
年後半へ折り返しとなった先週の東京株式市場は大幅反落となりました。週初に日経平均は上放れスタートとなりましたが、そこから4連敗し、週足ローソク足は前週の陽線を陰線で包む陰線包み足となりました。最高値圏での陰線包み足となったことで、調整局面入りを示唆します。
急騰相場は転機を迎える
日足では5日に5日線割れ、6日に25日線割れとなりました。25日線割れは4月10日以来のことで、海外投資家の買いで急騰した相場は転機を迎えつつあるようです。ただし、6月19日高値(3万3772円)からの下落では6月27日ザラバ安値の3万2306円で止まったことで、7月3日高値(3万3762円)とのダブルトップ確定は6月27日安値を割り込む必要があり、週末7日の安値(3万2327円)から切り返したことは評価できるポイントです。
欧州とアジアの一角で資金抜ける
一方で気になるのは、ドイツのDAXや英国のSFT100、仏のCAC40などは26週線を割り込んでいることです。同様に上海や香港、シンガポールも26週線を割り込んでおり、史上最高値を更新中なのはインドのSENSEXくらいのものです。欧州及びアジアの一角で資金が抜けてきている市場が増加している点は気を付ける必要がありそうです。
米雇用予想大きく上回り金利上昇
また、6日の米国市場ではADP民間雇用報告が発表されましたが、雇用者数が49万7000人増と、市場予想の22万8千人増の2倍超の伸びとなったことから米10年債利回りは節目の4%を超え一時3月2日以来の高水準に上昇しました。更に、金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りは節目の5%を超え、一時5.1%と2007年6月以来およそ16年ぶりの高水準を付けました。
FOMC利上げ確実もドル買われず
今月25~26日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%利上げが確実視されますが、その割に、ドルが買われていないということは気になります。足元の円安は金利差云々というより単純にリスクオントレードだったということなのかもしれません。
円ショートポジション巻き戻しも
IMMの投機筋ポジションを確認すると、足元では円のショートポジション(円売り)が積み上げられており、昨年10月の150円台の時のショートポジションを超えています。そろそろ何かのタイミングで、この積み上がったポジションの巻き戻し(円高)が起こるかもしれません。
日銀金融政策修正が決定打か
もしそうした巻き戻しの動きが起こるとすれば、今月27~28日の日銀金融政策決定会合で、物価見通しが上方修正されることやイールドカーブ・コントロールの修正が行われることが決定打となりましょう。
インフレ「一時的」とするのは苦しい
帝国データバンクがまとめた最新の値上げ見通しでは、7月も10月も3000品目以上の値上げが予定されています。日銀の黒田前総裁は物価上昇を「一時的」と繰り返し金融緩和を継続してきましたが、足元で3年に渡るインフレが続いており、「一時的」とするのは苦しくなってきています。
「恒常的」になりつつあること認める
前回の日銀会合で植田新総裁は「物価の下がり方がやや遅い」と指摘し、「企業の価格・賃金の設定行動に変化の兆しがある」と語っており、円安による輸入物価の上昇を積極的に価格転嫁することと賃金の引き上げを許容しだした企業の行動変化により「一時的」ではなく「恒常的」になりつつあることを認め、政策変更に踏み出すかもしれません。
輸出関連株から手を引く
その場合、海外投資家は日本株を円売りヘッジして大量購入してきましたが、ヘッジの円売りが一気に解消されることで、急激な円高が進行することになるでしょう。7月半ば以降は輸出関連株から手を引くことを考えていかねばならないかもしれません。
日々勇太朗
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
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