新年に向けさらに底堅い動きに期待|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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金融当局は株価上昇を警戒

11月1―2日のFOMC議事録によると、多数の理事が「利上げペースの鈍化が間もなく適切になる」との見方をしているという。先に発表された10月のCPI伸び率も予想を下回り、株式市場ではリスクオンの背景を確認出来たとしてポジティブな反応が見られる。ただ、S&P500は11/2のFOMCから現在(11/24)まですでに7%強値上がりしていることは考慮すべきだ。依然金融当局は株価上昇によるインフレ圧力再燃を警戒する姿勢だろう。

対極の見方で揺れる米国株式

6月以降米国株式市場は、「インフレ懸念による金融引き締め加速」と「インフレピークアウトや景気悪化懸念による引き締めペース鈍化」という対極の見方で揺れ動いてきた。具体的には、約2カ月上昇し次の2カ月で下落、現在はハト派が優勢で10月中旬からの上昇局面にある。ボックス相場が形成されるのは、金融不安の兆候が見られずFRBの金融政策と市場の自律調整が機能しているからだろう。

リスクオンが継続するためには?

グローバル経済を取り巻く環境に大きな変化がなくパターンが踏襲されれば、次のピークは12月中旬になりさらに先のボトムは春先となる。少なくとも、年末から年明けにかけてリスクオンが継続するためには、ウクライナ情勢など従来の延長線上ではない買い要因が必要となろう。

最終利上げまでの半年間は概ね保ち合い

実際、過去5回の米国利上げ局面とNYダウの動きを検証すれば、最終利上げまでの半年間は概ね保ち合いになるケースが多いようだ。大きく上昇するのは最終利上げ後金融引き締めがピークアウトしてからである。現在のところ今回の引き締めは来年前半5月頃までとの予想が大勢のため、それまでは上値が重い展開を想定される。来年に向け米国ではインフレが鎮静化し景気の大幅失速は回避出来ると見ているが、テック企業の急落や仮想通貨の混乱の影響と共にそうした方向を市場が確認するにはある程度の時間が必要と考える。

素材株などは大底圏

新年に向け日本株はそうした米国株の動きに連動しながらもさらに底堅い動きが期待できそうだ。原材料高や円安によるコスト高で収益圧迫にさらされている企業を含め日経平均の今期予想PERは13倍程度である。足元ではコスト高がやや沈静化する動きが見られ、素材株などは大底圏にあり環境好転に対する株価へのインパクトは大きい。

個別では?

セクターとしては下値不安の乏しい化学・セメントとデフレ脱却をテーマに不動産・商社・金融など。個別では、三菱ケミカル(4188)、TOYOTIRE(5105)、太平洋セメント〈5233〉。

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール

 

1960年奈良県生まれ 1983年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

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