全個体電池と新冷媒で政界を先行
脱炭素へ向けて自動車業界がガソリン車から電気自動車(EV)や水素を利用した燃料電池車へのシフトを模索するなかで、世界の有力企業はEVへ経営資源を集中する動きを強めている。EVの航続距離を伸ばすには電池の性能向上が必要不可欠だが、ここへ来ては、それ以外にもEVの性能を向上させる新たな技術が登場している。海外では自動車メーカー以外もEV開発を進めるなかで、日本企業が勝ち抜くには様々な独自技術で性能向上を図る必要がある。
世界の潮流はEVに集中
ホンダ(7267)が6月に入って水素を燃料とする燃料電池車(FCV)「クラリティフューエルセル」の生産を年内で中止すると発表、これによりFCVの量産メーカーはトヨタ自動車(7203)と韓国の現代自動車2社だけになり、世界の潮流はEVに集中する動きになっている。
電池以外の新たなキーパーツ登場
水素は供給設備の整備に時間を要することからコンセントひとつで自宅などから充電できるEVの量産化を各自動車メーカーが短期的には急ぐことになりそうだ。そのEVについては一回充電あたりの航続距離を伸ばすことが大命題となっていたが、ダイキン工業(6367)がEVのエアコンに使う電力を大幅に減らし、EV続距離を最大5割伸ばせる新冷媒を開発したと報じられた。これまでは電池だけに性能向上への関心が集中していただけに電池以外の新たなキーパーツ登場にEV普及への期待が一段と高まることになりそうだ。
全個体電池でトヨタが先行
一方、電池では高出力かつ短時間での充電が可能な全個体電池の実用化に期待が高まっている。開発では日本が先行し、トヨタ自動車(7203)は21年中に試作車の公開も検討、電子部品メーカーでは村田製作所(6981)が高容量かつ小型サイズの全個体電池を開発している。独フォルクスワーゲンと米新興企業のクアンタムスケープは24年にも全固体電池の商業生産を始めると公表しており、日本企業が技術を結集して先行でいるか注目したい。
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
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