壮大な上昇相場は始まったばかり|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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従来の投資尺度では測りきれない新しい相場

34年ぶりに日経平均株価が歴史的高値を更新した。半導体関連株の寄与率が高いとは言え、長期スパンで見た日本経済や企業統治の構造的な変化への期待が背景だと捉えるべきだろう。
世界的にエクイティー市況が好調だが、その中でも日本株のパフォーマンスは際立っている。昨年来続く外国人買いがさらに広範囲で加速している印象だ。デフレからの脱却がこれほど現実味を帯びたのは少なくともリーマンショック後は初めてで、従来の投資尺度では測りきれない新しい相場がスタートしたとの時代認識である。

米国では株価の割高感も

米国では、長期金利が現在も底堅い景気動向とインフレ懸念から4%台の高水準にあり、株価の割高感が取り沙汰されだした。S&P500の予想PERから算出されるイールドスプレッド(10年債利回り-益回り〈1/PER〉)は、一昨年の利上げ開始まで長年続いたマイナス3%台水準から直近ではマイナス0.5近辺まで上昇している。リーマンショック以降最も高い水準にあり、さらなる上振れには要注意だろう。

日本株は割安で上値余地が相当大きい

一方、日本株を同じ視点で見ると株価は割安で上値余地が相当大きいものとなる。デフレの超低金利下ではイールドスプレッドによる債券との比較はほぼ無意味であった。ただ、今や時代は転換点を迎えており見直しが必要だろう。先の最高値をつけた1989年12月時点の10年債利回りは5.7%、日経平均のPERは62倍台(益回り1.6%)、差し引きのイールドスプレッドは4.1%だった。

金融の正常化=株式価値の正常化

同じ日経平均でも現在の10年債利回りは0.7%、日経平均予想PERは16.56(益回り6%)、イールドスプレッドはマイナス5.3%である。当時とは較べるまでもない低水準だ。金利との関係では、潜在成長率の差を考慮しても米国株より明らかに割安である。金融の正常化への道のりには同時に株式価値の正常化を伴うと考える。最高値の更新を受け、先が「熱狂したバブル」で今回は「冷めたバブル」などと揶揄するのは間違いだろう。バブルには程遠く、ようやくスタート台に立ったとところとの認識だ。

株価上昇そのものが実体経済に好影響を及ぼす

アベノミクス以降の日経平均PERは13~18倍のレンジで推移し平均では15.5倍である。来年あたりまでPERのレンジは脱デフレの定着で少なくても2割程度(16~22倍まで)底上げされると見ている。来期の企業業績がコンセンサス通り10%程度の増益なら、このモメンタムはより現実味を帯びるだろう。
加えて、あまり意識しにくいが、株価上昇そのものが資産効果を通じて実体経済に好影響を及ぼす状況も考えられる。EPSで+5%程度の押し上げ効果が想定される。合計すると30~40%の株価上昇となる計算だ。日経平均では5万円台が視野に入る。年央に一旦大幅な調整を予測する向きがあるが、仮にそうしたケースでも壮大な上昇相場は始まったばかりで長期上昇基調は変わらないだろう。

個別では?

出遅れている中小型を含むバリュー銘柄全般に妙味があると見ている。個別には三菱UFJ(8306)野村HD(8604)ソフトバンクG(9984)など。.

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール
1960年奈良県生まれ 大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

提供:株式市場新聞社 marketpress.jp




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