3月以降はやや上値の重い展開
2月に歴史的高値を更新した日経平均だが3月以降はやや上値の重い展開となっている。
年初から3月22日高値までの上昇率が24%に達しスピード調整はやむを得ないだろう。日銀の金融政策変更という中銀ウイークを波乱なく通過して一時的に安心感が広がったが、期末最終週の需給悪が影響した面もあったようだ。
米国では昨年来相場をけん引したエヌビディアなどテック株の勢いにやや陰りがみられる。5月決算発表が一巡するあたりまでは、市場の関心は半導体などのテーマというより個別銘柄全般の業績見通しに集約されそうだ。
時間をかけて構造変化の好転を織り込んでいく
現在のところ、大手証券など主要調査機関アナリストによる25年3月期業績予想は全体で5~10%の増益である。これをベースに足元の為替動向や会社発表数字とのギャップが株価変動要因となる。ただ、今年は大手のベア満額回答が続出するなど長期間にわたり未経験だった事象が起きている。株式相場にはポジティブなはずだが、会社発表や市場バイアスは実態より慎重方向に働きがちである。時間をかけて構造変化の好転を織り込んでいくイメージだろう。
5~6月頃に賃上げ効果の道筋が見えてくる
それでも5~6月頃には景気動向に賃上げ効果の道筋が見えてくると予想する。特に、デフレ時代のバリュートラップ(割安株が割安のまま買われない状態)が解消される動きに注目している。 米国は次の緩和開始を待つ期間にあり、市場の関心が利下げ時期や年内の利下げ回数に集まっている。いずれにせよ、過去のケースでは最終利上げから1年~1年半程度は利下げ転換期待でリスクオンになり株高が続くことが多い。
日本株の優位性は当面継続
今回の場合だと昨年の7月を起点に今年の7月から年末にかけてまでとなる。また、大統領選の年は9月~11月の投票日頃まで調整するというアノマリーがあり、時期が重なることには注意が必要だろう。
そうした相場波動への警戒やPERなどバリュー面で割高感が出てきた米国株に対して、日本株の優位性は当面継続すると見る。3月以降、米国では金融緩和期待のけん制、日本では緩和的金融政策の長期化が示唆された。真逆の動きとは言え、両中央銀行とも市場の過剰反応を抑制して持続的成長の達成に向けての情報発信と見るべきだろう。
円高から株安でも短期波動の範疇
金利差が簡単に縮まらないとしてドル円相場は約34年ぶりの円安水準をつけた。
相場が反転して円高に向かうことを株安要因と警戒する向きがあるが、仮にそうした動きが見られても短期波動の範疇に留まると考える。日本株の構造変化を反映する長期上昇相場はスタート台に立ったばかりとの時代認識で取り組みたい。
個別では?
個別にはTOYO TIRE(5105)、ヤマハ発(7272)、野村HD(8604)。
光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール
1960年奈良県生まれ 1大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
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