グローバル資金の日本株見直し
年明けから日経平均は年末比で一時(1/17)2800円幅近い急騰になった。
12月は米国株に較べ上値の重さが目立っていたが、ここに来て上昇ピッチが加速し一気にアウトパフォームに転じている。短期筋だけではなく、グローバル資金のアセットアロケーションによる日本株見直し買いが背景だろう。
新しい上昇ステージのシグナル
テクニカル面からスピード調整があってもおかしくないが、長期スパンでは今回の急上昇は日本株が新しい上昇ステージに入ったシグナルではないかと見ている。
金融緩和期待が先行し易い
米国金融市場では、昨年秋以降早期利下げが現実味を帯びたとしてリスクオンの様相を強めた。インフレ緩和傾向が続く中で景気指標は底堅く、ソフトランディングへの期待が高まっている。ただ、これは今回特有の事象ではない。過去の金融政策転換局面でも最後の利上げ後の約1年間程度は株式相場が上昇するケースが多く見られる。金融引き締めによる景気減速はタイムラグを経るため、こうした局面では景気後退懸念よりも金融緩和期待が先行し易いようだ。
FRBにとっては難しい年
世界銀行の24年米国の経済成長率見通しは昨年の2.5%から1.6%へ減速するとの予測が示された。世界経済全体でも3年連続鈍化見通しである。株式相場と実体経済の乖離は大幅調整を招く原因になる、FRBにとっては、景気底割れ懸念に配慮しつつ市場の利下げ期待が先行し過ぎないようにけん制も求められる難しい年となりそうだ。
リーマンショックの経験則が活かされる
足元では米12月の小売売上高は予想以上の伸びとなり、再びタカ派的見方に揺り戻しの動きが見られる。堅調な景気動向は労働市場や物価指標を通じて金利の下げ止まりにつながる一方、本格的な金融緩和は景気後退入りが前提とのジレンマがある。ただ、リーマンショックの経験則が活かされ、年間を通じある程度のコントロールの維持は可能と見ている
植田総裁は市場との対話に成功している
日本は出口戦略という全く逆の課題に直面するが、デフレからの本格脱却が前提であり長い目で見れば株式市場にはポジティブと捉えられよう。一筋縄ではいかない米国や欧州と較べ、地政学的観点や割安感から日本株が相対的に優位になるとの見方がある。それが年明けの急騰相場の背景であり、今まで以上に息の長い上昇相場につながる可能性がある。現在のところ植田日銀総裁は市場との対話に成功しているとの評価で、今後も引き締めスタンスをことさらに不安視することはないだろう。
全く別次元の発想や感覚が必要
今年は、新NISAへの期待だけでなく、脱デフレの本格化が日本株にもたらす影響は極めて大きいと考える。第3四半期の決算発表で短期的に株価がブレやすい局面だが、投資戦略としてはデフレ時代の失われた30年間とは全く別次元の発想や感覚が必要だろう。
個別では?
2・3月決算の高配当銘柄の押し目狙い。個別でJFE(5411)、ミネベアミツミ(6479)三菱UFJ(8306)など。
光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール
1960年奈良県生まれ、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当
提供:株式市場新聞社 marketpress.jp
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