大幅調整から魅力的な水準に|光世証券・取締役 西川雅博氏【相場展望】

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一昨年・昨年の同時期の急落相場と酷似

9月に入り強気に傾いていた日本株だが、中間期をまたぐ期間に再び急落に見舞われた。下げ模様は一昨年・昨年の同時期の急落相場と酷似している。

大型株物色にやや過熱感

米国で10月の投資信託決算を前にした需給悪や日経平均銘柄入れ替えに伴う売りなど季節要因が考えられる。PER(12カ月予想)で見た場合、TOPIXコア30指数は9月15日に上限と考えられる+1標準偏差に到達していた。今回急落前の高値と一致しており、大型株物色にやや過熱感があったかもしれない。

投資の日に買えば過去11勝3敗

日経平均で9月中旬高値からの下げ幅は一昨年が3500円、昨年は3000円でいずれも10月第一週に底入れした。その後11月中旬頃まで反発相場になり下げ幅の75~95%を戻す展開となった。
今年も10月4日にほぼ同水準の3100円の下げ幅に到達している。10月4日投資の日に買った場合の年末までの勝率は過去11勝3敗というアノマリーがある。

金融引き締め期の最終局面

米金融市場は、FRB理事の発言やブレの大きい景気・雇用指標に相変わらず一喜一憂の様相だ。市場予想は目まぐるしいが、FRBは当面、安定的で持続的な成長を目指し中立姿勢の維持に努めるだろう。政策金利は5%台の高水準にあり金融引き締め期の最終局面にあるのは間違いない。

景気減速はまだ相当先

経験上、最も高い水準であるターミナルレートの期間に株式市場はリスクオンになりがちで、現在はその入り口の局面だ。株式市場にとって本格的なリスクは、米国の景気減速が鮮明になり金融緩和に向かわざるを得ないとのコンセンサスが大勢になる時だが、まだ相当先の話だろう。

バリュエーションからは魅力的な水準

大幅調整を受けてTOPIX全体の予想PERは13.8倍(10月5日)まで低下した。2006年以降平均の14.5倍を下回る水準だ。+1標準偏差(約17倍)は2728ptで10/6終値(2264pt)は約20%の下方乖離である。当面のファンダメンタルズは大きな変化がないと見ており、バリュエーションからは魅力的な水準と言えるだろう。

個別では?

リバウンド相場になった場合、依然高配当利回り銘柄などの景気敏感株やバリュー株が物色の中心になりそうだ。ただ、年末から来年にかけては半導体サイクルの底打ちからハイテク関連株も循環物色の出番が来ると見ている。来年スタートする新NISAをはじめ、「さらなる消費と投資の好循環」に向けての国の取り組みにも期待したい。
個別では、トヨタ紡織(3116)郵船(9101)大阪ガス(9532)など。

光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール

 

1960年奈良県生まれ 大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当

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