星野三太郎の株街往来~歌を忘れたカナリア

大証|企業速報 証券市場新聞

6月に入って早々、日経平均は1年半ぶりに2万円台に乗せた。2万円を目指す過程では新興を含めた中小型株が値を上げていたが、大台乗せ後は大型の主力株が買われており、多くの個人投資家も久々に胸がときめいたのではと感じている。
当然ながらこのような相場環境で証券会社も手数料の稼ぎ時かと想像していたところに、長年口座を放置していた証券会社から電話がかかってきた。さて、どのような銘柄を勧めるのか?と思って話しを聞いてみたが、その内容は国債の説明だった。2万円に乗せた相場環境には一切触れず、国債は安全確実な運用方法だとその営業マンは一生懸命に説明する。ネット証券が全盛の時代で、対面売買の存在感は薄くなっているが、独自の理論が評価されて多くの顧客を抱えている証券マンも存在する。「手数料が高くても信頼できる」と思わせたらいい訳だ。しかし、株屋が株を売らなくなったらその存在意義が問われる。今回の上昇相場でもプロに近いマイディーラーと外資の買い戻しが中心だったと聞く。個人を株に引き付けるには「歌を忘れたカナリア」である株屋も存在意義を思い出す必要がある。

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