方向感がはっきりしない展開が続く
3月以降、方向感がはっきりしない展開が続いている。米国において2007年8月以来となる長短金利の逆イールドが発生、ドイツでは3月製造業PMIが2012年以来の低水準になるなど世界的に景気後退懸念が台頭し、一部リスクオフの動きにつながった。新年度相場についても年後半にかけて慎重な見通しが大勢で、上値の重さも致し方ないというムードである。
当面は小幅レンジの展開か?
ただ、昨年10月高値から年末にかけての20%強の下落相場で、年明け以降の景況感悪化を先行して相当織り込んだと見ている。実体経済の悪化は想定の範囲内で、足元の手詰まり感とは裏腹にここからの大幅調整入りの可能性は高くない。一方で、延長された米中貿易協議や4月後半から始まる決算発表を見極めたいとの投資家の慎重姿勢は変わらず、当面は小幅レンジの相場が続くのではないか。
バブルもその反動の急激な悪化も起こりにくいという投資戦略
過去20年、ITバブルの崩壊・リーマンショックの大暴落などを経て投資家は、多くを学習し洗練されてきた。グローバル資金は投資先を厳選し、実体と大きく乖離する相場は出現しにくいという背景がある。地政学リスクも過去数年に較べると大きく後退した。新年度を迎え、バブルもその反動の急激な悪化も起こりにくいということを前提にした投資戦略が必要であろう。
4月の日経平均は?
4月は重要スケジュールが目白押しである。悪化が予想される日銀短観や中国PMI発表後の株価の反応には要注目だ。その後も米中貿易協議、英国EU離脱問題、3月決算及び今期見通し発表など短期的な株価変動要因は多い。また、売買高減少局面で金融機関のアセットアロケーション変更が短期的な株価変動を助長する動きには注意が必要だ。下落局面では買いで臨みたいが、10連休を控え上値も限定的であろう。4月の日経平均は2万1000~2万2000円のレンジを予想。内需セクターでは不動産、リート。個別には好業績期待と中国関連でコマツ(6301)。
光世証券・取締役 西川雅博氏プロフィール
1960年奈良県生まれ 1982年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当
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